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【暮らし】

マンション「理事長」委託 住民高齢化なり手不足 外部専門家 維持管理など支援 

以前、水漏れのトラブルが起きた場所の下で、今後の維持管理について話す加藤真澄さん(左)と高名俊昭さん=名古屋市千種区で

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 マンションの所有者の高齢化が進み、全国で管理組合の役員のなり手不足が課題となっている。対策の一つとして国が示すのが、マンション管理士ら外部の専門家に理事長の業務を委ねる方法だ。八年前から外部に管理を委託している名古屋市のマンションを訪ねた。 (河郷丈史)

 同市千種区の分譲マンション「東山ハイツ」。築四十五年で十九戸がある。住民の多くが七十代で、所有者が遠方に住んでいる部屋も。同じ人が何年も役員を務める例も出てきたため、マンション管理士や弁護士らでつくる市内のNPO法人「マンション管理者管理方式推進機構」に委託した。

 一般的な管理組合では、複数の理事による理事会で基本方針を決め、全組合員による総会で最終決定する。東山ハイツでは、総会は変わらないが、理事会を廃止し、機構を理事長(管理者)に選任した。機構が修繕計画作りなどをサポートし、機構の理事が現場責任者となっている。理事長の任期は一年で、延長するかどうかは総会で決める。

 現場責任者を務める加藤真澄さん(60)は不動産業を営み、マンション管理士などの資格を持つ。建物の目視点検を兼ねた清掃、水漏れなどのトラブルへの対応、ごみ分別の注意喚起などの業務をこなす。修理業者への支払いなど現金を直接扱うのは所有者だが、管理費や修繕積立金の入金状況は加藤さんがチェックする。「住民同士では言いにくかったり、もめてしまったりすることもある。われわれはしがらみがないので動きやすい」と話す。

 所有者で監事を務める高名俊昭さん(73)は「水漏れの原因があるのが共用部か、特定の部屋か分からないときも、すぐに対処してもらえてトラブルが減った」と話す。毎月七万円の報酬を支払うが、所有者から不満は出ていないという。

 国土交通省の二〇一八年度マンション総合調査によると、管理組合の四割が外部の専門家を活用しているが、このうちの大半は大規模修繕など特定の案件に限って依頼しており、理事長への選任は約3%。ただ、役員への活用を「検討している」「将来的に必要となれば検討したい」とした組合は三割近かった。

 機構の山本逸男理事長(78)は「高齢化などで自主管理が難しくなった組合の受け皿の一つとして活動したい」と話す。

◆業務チェックは必要

 外部委託した場合、管理が適切にされているのかどうか、所有者が監視することが重要だ。例えば、選任した理事長が自らに近い業者に、実際は必要がない修繕工事を発注するなど、管理組合が損害を与えられる恐れもゼロではない。

 公益財団法人「マンション管理センター」(東京都)は、マンション管理士や弁護士などの専門家を活用する場合、任せたい業務の内容や、専門家の管理実績などに基づいて複数の候補をリストアップし、面談した印象や費用を比べながら選ぶことを勧める。毎月の業務報告義務を課す必要も。「自分たちが選んだ人がちゃんと仕事をしているか、チェックする仕組みをつくることが大事」とアドバイスする。

<外部専門家の活用> 国土交通省は2016年、管理組合が規約をつくる際のモデルとなる「標準管理規約」を一部改め、外部の専門家の活用を盛り込んだ。理事会を廃止して理事長に選任するほか、理事会を維持して理事長を任せたり、理事や監事など役員の一人として迎えたりと、さまざまな形を示している。

 

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