東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

歩行助ける多様な「つえ」 自立型の多点タイプ 腕全体で支えるものも

冨板充さん(右)に四本足の「多点杖」の使い方を教えてもらう記者=いずれも名古屋市昭和区で

写真

 高齢者が持つイメージが強いつえだが、ぎりぎり四十代の私もつえを手放せない一人。パーキンソン病に伴う症状のため、歩きにくさがあるからだ。しかし、これまで選び方、使い方は自己流。そこで、名古屋市昭和区にある福祉用具をそろえた施設を訪ね、どんなつえがあるのか、どんな使い方をするのか、教えてもらった。 (三浦耕喜)

 その施設は、社会福祉法人・同市総合リハビリテーション事業団が設ける「なごや福祉用具プラザ」。作業療法士の冨板充さん(42)が迎えてくれた。冨板さん自身もスポーツでけがをし、リハビリに通った時期があり、その経験から障害がある人を支える道に入ったという。

 広いフロアには、さまざまな車いすや電動カート、トイレや入浴の施設、ベッド、食事用具などがあり、千点以上の品を試すことができる。

 「今日はつえでしたね」と冨板さん。まず手に取ったのは、棒の形をした「一本つえ」。持ち手がT字になっていて「T字つえ」と呼ばれるものもある。「歩きづらさを少し感じる初期のパーキンソン病の人向け」と冨板さんは言う。

 つえの長さは、背筋を伸ばして「気をつけ」をしたとき、持ち手が手首や腰のあたりにくるくらいがちょうどいい。「つえを持った手の手首を腰に付けます。歩く時も手首は腰からあまり離さず、つえの先を足先から二十〜三十センチほど前に出すイメージです」。つえを持つ手を胸や腹の前に出して、つえと腕力で体を支えるのは間違いだ。

 最近は、百円ショップなどでも一本つえを見かける。長さも各種あり、私も一時、百五十円ほどのもののお世話になった。

 ただ、これは一本の棒ゆえ、つえだけでは安定しない人もいる。「そこで出てきたのが『多点つえ』です」と冨板さん。見せてくれたのは、地面との接点が四つあるタイプ。四本足なのでつえ自体が自立できる。二十年ほど前から使われているという。

 だが、欠点もある。傾斜があるところでは、つえも斜めに立ってしまう。それを知らずに体重をかけたら、転倒の恐れもある。

体重をかけても体を支えられるロフストランドクラッチ。手のひらの下で押し込むようにすると安定する

写真

 体重をかけても耐えられるようにと作られたのが、今、私も使っている「ロフストランドクラッチ」だ。肘当てにしっかり肘を載せてつえが離れないよう固定してからグリップを握り、手のひらの底で体重を支える。足にかかる体重が減るのでさらに動きやすい。

 調子に乗って、全体重を載せて上体を振り子のように揺らし、飛ぶように前に進む“技”を披露した。すると、冨板さんは渋い顔…。「何かあったら気付いてもらえるように周りに人がいる場所で、ゆっくりやってくださいね」

 つえには介護保険も適用される。しかも、パーキンソン病など十六の病気については、四十〜六十四歳の人も対象となる。物にもよるが、月数百円で収まりそうだ。

 非常にお得だ。だが、要介護認定を受けなければならない。「四十代で要介護・要支援か…」。介護はわが身にもひたひたと近づいていることを思いながら、帰路についた。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報