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【暮らし】

余剰電力 固定買い取り 順次終了 売るか使うか検討を

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 家庭用の太陽光発電で使い切れなかった余剰電力を、一定価格で買い取ることを国が約束する「固定価格買い取り制度」(FIT)。11月以降は、10年の買い取り期間が順次、満了を迎える。高額買い取りが終わることから、「卒FIT」問題とも呼ばれる。余剰電力を売るのか、ためて使うのか。各家庭に合ったプランを検討したい。 (砂本紅年)

 「このまま売電を続けようか、それともほかにいい方法があるだろうか」。横浜市内に住む主婦(50)は東日本大震災後の二〇一二年夏、環境にやさしい再生可能エネルギー(再エネ)普及のためにと、自宅の屋根に太陽光パネル(約二・八キロワット)を約百万円かけて設置した。

 余剰電力は東京電力に一キロワット時四十二円で売電し、月平均で約六千四百円の収入を得ている。ただ、十年間では投資額を回収できない。二年後に期間満了を迎えるが、以降の売電価格は同十円以下になる。「今後どうすればいいか気になる」と悩む。

 「卒FIT」を迎える契約は、今年十一〜十二月に限っても約五十三万件。二三年までに約百六十五万件に達する。近年の太陽光パネルが発電できる期間は二十〜三十年。FITに合わせ設置した場合、期間満了後も発電できる。

 電気・ガス料金の比較サイトを運営する「エネチェンジ」(東京)顧問の木村慎作さん(69)によると、卒FITの対応は主に二つ。自家消費を増やすか、引き続き売電するかだ。

 自家消費には、日中の消費に加えて、夜間も家庭用の蓄電池にためて使う方法と、電気自動車(EV)に充電する方法などがある。ただ、蓄電池は百万〜二百万円が中心価格帯で、手頃とはいいがたい。EVもなお高額で、急速充電器などのインフラも普及途上だ。

 このため「今までより売電単価は下がるが、ほとんどの人が売電するだろう」と木村さん。FIT後の買い取りプランは大手電力以外に、ガス会社など新電力も続々と発表している。

 中部電力は、誰でも加入できるシンプルプランの買い取り価格を一キロワット時七円に設定。満了後に手続きをし忘れると、同プランに自動加入となる。振り込みだった買い取り額を翌月の電気料金から差し引く「プレミアムプラン」にすると同八円。流通大手のイオンに電気を融通するプランは同九円相当となる。七円を電気料金から差し引き、残り二円を買い物に使えるポイントに還元する。

 新電力は買い取り価格で大手電力に対抗する。東邦ガスは東海地方の在住者が電気契約を結んだ場合、最大同九・五円で買い取る。JXTGエネルギーは中部、北陸地方などで同十円。積水ハウスは自社の住宅所有者向けに、同十一円を打ち出した。大手電力の買い取りプランは六月末までに出そろう予定。

 資源エネルギー庁は再エネ普及の観点から「競争で買い取り額が上がる。消費者もさまざまなメニューを検討して」と話す。消費者が卒FIT後のプランを選びやすくするため、初回の契約を中途解約した時の違約金の設定は、大手電力については禁止された。

 また「FIT後は売電できない。蓄電池を付けないと損する」など便乗詐欺にも注意が必要だ。こうした注意点などを紹介する同庁の情報は「どうする?ソーラー」で検索。

<固定価格買い取り制度(FIT)> 再エネ普及のため、期間を10年間に限定し、国が決めた価格で太陽光などで発電された余剰電力を買い取る制度。家庭用は2009年11月に始まった。制度開始当初の09、10年度の買い取り価格は1キロワット時48円。その後徐々に下がり本年度は24円。買い取り費用は、電気料金のうち「再エネ賦課金」という形で国民が負担している。期間満了の数カ月前に、必要な手続きなどを記した通知が売電先の電力会社から届く。

 

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