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【暮らし】

認知症カフェ スタバで開催 市民に身近 深まる理解

スターバックスの店舗で開かれている認知症カフェ。当事者や家族が本音を語り合えるひとときだ=東京都町田市で

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 政府が6月に示した認知症施策の推進大綱で、2020年度末までに全市町村へ普及させるとの目標が明記された認知症カフェ。高齢者施設や公民館などが会場となることが多いが、東京都町田市では3年前から、通常営業しているコーヒーチェーンの店舗を利用した珍しいスタイル。多くの市民の間近で開催されており、市などは「若者の参加も増え、認知症への理解が広まっている」と手応えを感じている。 (五十住和樹)

 「ケアマネジャーはついているんですか」「ケアマネ? そんな高級なものはないね」。八十歳前後の認知症の男性と参加者のやりとりに笑い声や拍手が起きた。五月下旬、同市内の「スターバックスコーヒーぽっぽ町田店」であった認知症カフェ。九人が談笑する風景は一般客のおしゃべりと、ほとんど変わらない。

 翌月中旬、同市の別の店では介護に悩む女性が「思いを吐き出すことができた」と笑顔を見せた。「診察室以外で認知症当事者や家族と話したのは新鮮」と言う医師もいた。

 認知症カフェは、認知症の人や家族、地域住民や介護、医療の専門家などが気軽に集まって話をする場所。市は認知症を表す英語(dementia)の頭文字を取って「Dカフェ」と名付けた。スタバとは二〇一六年七月から連携し、現在は市内の八店舗で毎月各一回ほど開いている。

 連携のきっかけは、町田金森店の林健二店長(48)が近くの特別養護老人ホームの清掃活動に参加したこと。「本物のカフェで認知症カフェをやれば、市民の認知症への理解も進むのでは」と取り組んだ。

 店内の一角に「Dカフェ=出張認知症カフェ」の看板を置き、それぞれ飲み物を買って席に座り、まとめ役の「ファシリテーター」が会話を取り持つ。参加自由で、たまたま近くに座っていた人が加わることも。市によると昨年度は九十六回開き、認知症がある百六十四人を含む延べ計九百四十五人が参加した。参加者は増加傾向にある。

 同市の高橋由希子地域支援担当課長(46)は、「特別な場所から日常の場所へ」と狙いを話す。あえて街角で開いて一般の市民が認知症に触れるきっかけを作ることで、周囲が認知症の人をやさしく見守り、外出しやすい街づくりを目指す。

 三年間で周囲の反応も変わってきたという。林さんは「もしかしたらうちの父も…などと飛び入りした人もいる。隣の席で何を話しているか聞いているだけでも、認知症を知ってもらえ、誤解や偏見が減っていけば」と期待する。

 スタバでの認知症カフェは愛知県日進市や、横浜市のJR横浜駅前の店でもスタート。別のコーヒーチェーンにも広まりつつある。

◆地域のニーズで いろいろな形に

 「認知症カフェが日常の延長線上にあることが重要。Dカフェは、地域の風景に溶け込んでいる」。筑波大ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター助教の河野禎之(よしゆき)さん(39)はこう評価する。

 河野さんは「認知症にやさしい街」が実現した姿を示す「まちだアイ・ステートメント」作成にかかわるなど、全国の自治体の取り組みに詳しい。町田市は、認知症の人が集う「本人会議」などで当事者の声を把握して街づくりに生かしている。だが、河野さんによると、全国では認知症の人が街づくりに参加する例はまだ少ないという。

 「行政でなく地域の人や地元の店が主体となって活動を重ねてきたのは、三年間の大きな成果。地域のニーズに応じ、認知症カフェにはいろいろな姿があっていい」と、河野さんは指摘している。

 

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