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【暮らし】

<食べきりのすすめ>外食、残したら持ち帰り 広がる対応「自己責任」原則で

食べ残しのパンや肉料理を入れた容器を見せる長尾英典さん=名古屋市名東区で

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 外食時にせっかくの料理を食べ残してしまい、「できれば持ち帰りたい」と思ったことがある人は多いだろう。食中毒など衛生面のリスクから店が断るケースが多いのが現状だが、食品ロスの削減につなげようと、対応する動きも広がっている。 (河郷丈史)

 名古屋市名東区のカフェレストラン「コンヴィエ」。記者が食べ残したパンや肉料理を持ち帰っていいか尋ねると、店主の長尾英典さん(39)が容器に入れて渡してくれた。

 二年前の開店時から持ち帰りに対応。できたてを味わってほしいのが本来で、勧めてはいない。それでも希望があると、帰宅までの時間を聞いたり、傷みやすいものを避けたりしながら「お客さまの責任でお願いします」と伝える。食べ残しが出ないよう、小盛りなどにも応じている。

 何らかの食品ロス削減に取り組む店を市が認定する「食べ残しゼロ協力店」の一つ。制度は二〇一七年から始まり、六月末現在百十三店が登録する。

 外食チェーンを手掛ける「セブン&アイ・フードシステムズ」(東京)は今春から、ファミリーレストラン「デニーズ」などで一定のルールの下で持ち帰りが可能に。衛生面などの注意書きを客に確認してもらい、テークアウト用の容器や保冷剤を渡す。広報担当者は「食品ロスへの関心の高まりもあり、希望する客が増えてきた」と説明する。

 消費者庁などは五月、「外食時のおいしく『食べきり』ガイド」を作成し、自治体などに通知。この中で、持ち帰る場合は清潔な容器を使うことや、中心部まで再加熱して食べることなどの注意点を挙げ、店側にも衛生上のリスクを客に伝えるなど、可能な範囲での対応を呼び掛けた。

 ただ、多くの飲食店はまだ持ち帰りに慎重だ。店側に責任がなくても、客が健康被害を訴えれば、イメージダウンになりかねない。持ち帰りに応じている名古屋市内の飲食店主も「常連以外の客は怖い。信頼関係がないと難しい」と話す。

 こうした懸念を減らそうと、食べ残しを持ち帰る容器・ドギーバッグを通じて食品ロスの啓発に取り組む民間団体「ドギーバッグ普及委員会」は、客が店に「自己責任において持ち帰ります」と提示する名刺サイズのカードを会員に配布。自己責任で持ち帰りできることを店が客に伝えるステッカーのデザインも作成し、ホームページでダウンロードできるようにした。

 ドギーバッグは、米国で食べきれなかった料理を持ち帰る際に「犬のエサにする」という名目で持ち帰ったのが始まり。日本では〇九年に同委員会が結成され、会員は個人や飲食店など約六百に上る。

 理事長を務める愛知工業大の小林富雄教授(46)は「持ち帰りの前提は自己責任だが、さらなる前提は、消費者として自立し、自ら考えられるようになること」と指摘。蒸し暑い今の時期はより慎重に考えなければならないし、危ないと感じたら捨てる勇気も必要だ。

 「大切なのは、無理に食べるのではなく、店と客が歩み寄り、気持ち良い食事を目指すこと。それが結果的にロス削減につながる」

◆外食時に持ち帰る場合の主な注意点

・食中毒のリスクなどを十分に理解した上で、自己責任の範囲で

・十分に加熱された食品で、再加熱が可能なものにする

・手を洗い、清潔な容器、箸などを使う。水分はできるだけ切り、早く冷えるように浅い容器に小分けする

・暖かい場所に置かない

・帰宅までに時間がかかる場合は持ち帰らない

・帰宅後できるだけ速やかに食べる。中心部まで十分に再加熱する

・見た目やにおいなど、少しでもあやしいと思ったら口に入れない

※外食時のおいしく「食べきり」ガイド(消費者庁など)を基に作成

ドギーバッグ普及委員会が作った「自己責任」というキーワードを強調したカードと店舗向けステッカーデザイン

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