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【暮らし】

<家族のこと話そう>50歳の挑戦、夫が後押し 薬膳料理家・大友育美さん

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 自然食レストランや料理番組のアシスタントなど長年、食にかかわる仕事をしていますが、薬膳の資格を取るための学校に入学したのは五十歳の時です。「家のことは心配ないから」という夫の後押しが大きかった。

 同い年の夫と知り合ったのは、働いていたレストランです。常連客だった夫と付き合い始め、三十六歳で結婚。ほどなく、年子の長男長女を授かりました。

 福祉施設の職員の夫は忙しく、保育園の送迎や家事は、ほとんど私。ただ、夫は休日はどんなに疲れていても、アトピーだった娘の通院に付き合ってくれたり、家族を遊びに連れて行ったり。

 私の薬膳師の資格の時もそうですが、夫は家族に「興味のあることは全部やってみなよ」というスタンス。習い事も、子どもがふと「〜って楽しそう」とつぶやくのを聞き漏らさず、近くの教室を検索したり、見学の申し込みをしたり。

 小学生だった息子が「格闘技って面白そう」と言うと、夫はすぐに調べて「空手教室なら、ここはどうだ?」。格闘家になる気のない息子は「いや、空手怖いよ」とタジタジでした。教育熱心の夫は本人より前のめりになりやすく、即実行の「直結」型。私が間にワンクッション入るという感じですね。

 息子は大学一年。夫と同じ福祉の道を志望しています。高校時代、お年寄りの囲碁の相手をするボランティアをしたのがきっかけだそうです。囲碁をたしなむのは、小学校時代に漫画「ヒカルの碁」にはまった息子が、夫の勧めで囲碁教室に通ったから。年ごろで、父親を「ちょっとうざい」と感じることもあるようですが、夫の「直結」ぶりが今の進路に生きています。

 美大志望の娘は高校三年。小さい頃から絵を描くのが好き。ただ好きで入った芸術系の高校なのに、入学当初は絵が上手な生徒ばかりで打ちのめされました。娘のよりどころは週四で通う予備校。先生は現役の美大生で、娘の悩みや屈折した思いを受け止め、ほぐしてくれました。ほどなく高校にもなじめました。

 私が薬膳に興味を持ったのは、年子を高齢出産して体調がすぐれなかったことと、娘が生まれつき重度のアトピーだったこと。おいしくない卵と牛乳の除去食を、夫は文句一つ言わず付き合ってくれました。当時は家に卵を置かなかったので、成長した娘が普通食になった時、初めて卵を見た息子は「これは何?」と大騒ぎ。「一つ持ってって、友達に見せていい?」と言うので、「いや、友達の家に普通にあるから」と大笑いしました。

 聞き手・北村麻紀/写真・中西祥子

<おおとも・いくみ> 1964年、高知県生まれ。自然食レストランなどで調理や理論を学ぶ。「国際中医薬膳師」の資格を取得。家庭で手軽に作れる薬膳レシピを紹介、NHKなどで活躍中。近著に「おくすり晩酌」(ワニブックス)。

 

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