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【暮らし】

「ゲーム障害」若者で急増 WHOが新たな病気に認定

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 インターネットやゲームに依存し、生活に支障を来してもやめられない「ゲーム障害」。世界保健機関(WHO)はことし五月、新たな依存症として疾病分類に加えた。スマートフォンの普及で十代の若者を中心に患者が増えており、対策が急がれる。(花井康子、河野紀子)

 愛知県に住む女性(49)の中学三年の息子(14)は中学一年の冬ごろから、スマホの対戦ゲームに熱中。食事以外は常にそばにスマホを置き、休日は一日中没頭するようになった。やめるように言ったが、「相手がいるから途中ではやめられない」とゲームを続けた。

 数カ月すると、頭痛や肩こりなど体の不調を訴えるように。内科や整体などに通ったが、改善しなかった。症状は悪化の一途で、朝、起床後に嘔吐(おうと)するように。食欲もうせ「生きていても仕方がない」などと言って無気力になり、学校にはほとんど行けなくなった。それでも、「スマホがないと落ち着かない」と、少しの間も手放せずにいた。

 心療内科などを受診しても原因は不明。女性がネットなどで話題になっていたゲーム障害を疑い、三月に専門の久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)を受診。カウンセリングの結果「可能性が高い」と診断され、正式な結果を八月の通院で受ける予定だ。

 WHOの定義によると、ゲーム障害は日常生活よりもゲームを優先し、問題が起きても続ける。本人や家族の社会生活や学業、仕事に支障が出る状況が一年以上続く場合、または重症だと一年未満でも診断される。

 厚生労働省の調査では、ゲーム障害を含むインターネット依存症の疑いのある中高生は二〇一二年度の調査では推計値で五十二万人だったが、一七年度は九十三万人と二倍近くに急増している。

 治療の第一人者で、久里浜医療センターの樋口進院長は、仲間と協力して攻略するオンラインゲームの人気の高まりが背景にあると指摘。「オンラインゲームは絶えず内容が更新されるので終わりがなく、飽きない。強くなって仲間に称賛されると、さらにのめり込み、何時間でもゲームに没頭してしまう」と話す。

 センターは一一年、国内初のインターネット依存の専門外来を開設。一六〜一七年に受診した患者のうち、九割がオンラインゲームの依存症と診断された。平均年齢は十九歳で、十代が七割を占めた。

 社会人が仕事を終えた深夜からゲームが始まるケースも多く、昼夜が逆転。朝は起きられずに学校や会社に遅刻、欠席する人も。夢中になって食事を取らずに体力が衰え、家族に注意されたり、ゲームを取り上げられたりすると、暴力をふるうケースもあるという。

 センターの治療では、生活日誌をつけていかに多くの時間をゲームに使っているかを把握。「なぜゲームをするのか」といった自己を見つめるカウンセリングや、同じゲーム障害の患者らとのミーティング、運動などを通じて徐々にゲームをしたい衝動を抑えられるようにしていく。

 無理やりスマホを取り上げると反発して病院に来なくなるおそれがあるといい、樋口院長は「本人が自分の意思でゲームの時間を減らしていけるよう手助けすることが大切」。治療には長期間かかるが、回復できる。ただ、対応できる医療機関は全国で約八十カ所で「不足している」という。

 子どもへの予防法としては、スマホを買い与える前に親子で使用法のルール作りをすることが大切。一日の使用時間や場所、金額などを決め、無制限にできないようにすることなどを同センターのホームページで紹介している。

 

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