東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

高齢者へ水中運動のススメ 足腰への負担、浮力で軽く

水中運動を行うデイサービス施設のお年寄りたち=茨城県つくば市で

写真

 プールの中で大股で歩いたり、足や腰のストレッチを行ったり−。足腰が弱る高齢者にとって、水中は浮力によって関節への体重の負荷が減るため、体が動かしやすく、転倒などで骨折する心配も少ない。水中運動は、高齢者にこそ向いており、リハビリとして取り入れている介護施設もある。 (細川暁子)

 「太ももを体と直角になるぐらいまで持ち上げながら、歩きましょう」。茨城県つくば市のデイサービス施設「Vividつくば」。施設内のプールで、職員の掛け声に合わせ、お年寄りたちがゆっくりと歩く。半年前から施設に通う小川三左男(みさお)さん(81)は膝が痛むため、普段はつえをつき、道路では転ぶのが怖くて小刻みに歩きがちだという。でも、プールの中では大股歩きだ。「水中では、もし転んでも痛くないし、足も軽い力で上げ下げできる。体を自由に動かせ、うれしい。運動するから、よく眠れるようにもなった」

 施設は、水中運動を研究してきた筑波大名誉教授で医学博士の野村武男さん(74)が二〇一三年に開所。七十代〜九十八歳のお年寄り約四十人が通所し、週に二回、体力に応じて全員が三十分〜一時間ほど水中運動をしている。車いすの利用者もできる。職員が抱きかかえてプールに入り、腕に水泳用のヘルパーを着けるなどしながら、歩く練習などリハビリを行う。

 野村さんによると、水中では、肩までつかると浮力で体重が十分の一程度になり、腰や膝の関節への負荷が陸上よりも軽くなるため、足腰の弱ったお年寄りでも歩いたり、手足を動かしたりする運動が可能。筋トレやストレッチなどにもなり、腰痛の改善にもつながるという。

 施設で行っている水中運動は、誰でも手軽にできる。まずは手を大きく振りながらゆっくり歩き、慣れてきたら大股で歩く。プールサイドにつかまりながら歩いてもいい。水中で歩く時は、通常はかかとから着地するが、つま先から着地するように意識すると、ふくらはぎの運動にもなるという。片足ずつ持ち上げた膝を、上体を横にひねりながら反対側の手で触って歩く「ツイスト歩行」を行えば、足だけでなく、腹筋も鍛えることができる。

 プールサイドを両手でつかみながら水中で両膝を曲げ、プールの壁に足の裏を付けて無理のない範囲で徐々に膝を伸ばしていくと、太ももや腰の筋肉の運動に。片手をプールサイドに置いて片足で立ち、もう一方の足は膝を曲げて体に直角になる角度まで上げて大きく回すと、股関節の柔軟性を高めるストレッチになる。

 運動前も含めて体調には十分、注意が必要。血圧は上が一六〇以上、下が一〇〇以上の場合は、実施していいかどうか医師に相談しよう。大切なのは、急に激しい運動をせずにゆっくり水に慣れること。水中では血管が収縮して熱が逃げにくくなり熱中症になる人もおり、こまめに水分を取ることも必要だ。体調不良はプールに入って十分以内と、更衣室などで多いので気を付けたい。

 水中運動は週二回程度行うのが理想といい、野村さんは「初めは水着を着るのを嫌がるお年寄りもいるが、体を動かすうちにみんなプールが大好きになる。幅広い年代の人に取り組んでほしい」と話す。

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報