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【暮らし】

<家族のこと話そう>ピンチのとき、父が力に 俳優・一ノ瀬颯さん

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 小さい頃、テレビは朝の三十分だけしか見せてもらえませんでした。その中でもスーパー戦隊シリーズは毎週すごく楽しみで、自分とは別世界の物語に夢中になっていました。

 かっこいいヒーローへの憧れから、初めて俳優になりたいと思ったのは小学校低学年のとき。ただ、サラリーマンの父に伝えると、「厳しい世界だよ。生計を立てるのも難しいよ」と言われました。自分の中で「俳優になる」という夢はタブーになり、中高生の頃は安定しているとの理由で、司法書士や行政書士を目指していました。

 再び俳優を目指したいと思ったきっかけは、高校一年で受けた模試の論述テストでした。職業を選ぶ際に「やりたいことを取るか、お金を取るか」との問いに答えるうち、「やらないで後悔したくない」という思いが募りました。大学に入ったら俳優を目指そうと決めました。

 昨年春、大学の入学式でスカウトされました。ただ、父には「俳優を目指して芸能活動をする」と言いたくなかった。こっそり始めたいと思っていました。後ろめたかったんです。

 実は大学に入るまで、二年遠回りをしました。一年浪人し、二年目は第一志望の合否の結果を待つ間に、合格していた大学の入金手続きの期限が過ぎ、どこにも行けなくなってしまったんです。「人生終わった」と絶望しかけていた僕の横で、父は「事実は取り返しがつかない」と言いながらも、専門学校を調べるなど、次の一手を真剣に考えてくれました。

 父と探した専門学校に入学。そこから大学への編入を、と考えていましたが、通い始めた専門学校に納得できず、結局大学を受け直しました。そうやって大迷惑をかけて、ブレブレの選択をして、ようやく大学に入ったところだったので…。

 気持ちを奮い立たせて父に伝えました。今回もだめ出しされると思っていましたが、「すねをかじらず生活していくなら」と、認めてくれました。

 一方、母は快く背中を押してくれました。幼い頃から折に触れ、人と関わる上で大事なことを教えてくれた母。幼稚園の時に言われた「人に無条件に優しくしていると、巡り巡って自分に返ってくる」は、今演じている戦隊シリーズの役に重なります。百パーセント他人のために動く主人公は、みんなに慕われる。「母に教わったそのままだ」と感じています。

 いつか俳優として両親に胸を張れるように、上を向いて進んでいきたいです。

 聞き手・今川綾音/写真・高嶋ちぐさ

<いちのせ・はやて> 1997年、東京都生まれ。2019年3月、テレビ朝日系「騎士竜戦隊リュウソウジャー」の主演・コウ(リュウソウレッド)役でデビュー。映画『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIEタイムスリップ!恐竜パニック!!』が全国で公開中。

 

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