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【暮らし】

特技生かし「幸福感」アップ 愛知県大府市で高齢者対象に調査

ネクタイをサンバイザーにリフォームする方法を教える上村貞子さん(右)=愛知県大府市で

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 自分の特技や得意なことを人に教える活動をしている高齢者は、幸福感が高い−。ボランティア活動が盛んな愛知県大府市の高齢者を対象に、朝日大(岐阜県瑞穂市)の中村広隆助教(37)らのグループが実施した調査で、そんなシニア像が浮かび上がった。どんな社会活動が高齢者の幸福感につながるのかを分析した研究は珍しく、幸せなシニアライフを送るヒントになりそうだ。 (五十住和樹)

 朝日大の調査は、国立長寿医療研究センター(大府市)などが二〇一六年に実施した「健康とくらしの調査」のアンケート結果を活用。大府市を含む全国四十市町の約二十万人に、現在どの程度幸せかを十点満点(〇点を不幸、十点を幸福とする)で尋ねたアンケートで、八点以上の人を「幸福感が高い」と分類したところ、八点以上と回答した人の割合が、四十市町の中で大府市が最も高かった。

 中村さんらは、大府市の回答者のうち、要介護認定を受けていない高齢者二千六百五十二人のデータを分析。「趣味関係のグループ」「町内会・自治会」「介護予防・健康づくり活動」「老人クラブ」「スポーツの会」「ボランティア活動」「収入のある仕事」「学習・教養サークル」「特技や経験を他者に伝える活動」の九項目の社会活動をしている人と、幸福感の高さの関連を調べた。

 その結果、「特技や経験を他者に伝える活動」をしている人は、いずれの活動にも参加していない人に比べ、六十五〜七十四歳では一・一九倍、七十五歳以上は一・二二倍、幸福感が高かった。

 「特技や経験」の具体的な中身は、日本舞踊や琴の発表会、地域の祭りの準備で電気配線を設置するなど、スキルを生かした「利他的な活動」だった。

 七十五歳以上では、「老人クラブ」「スポーツの会」「介護予防・健康づくり活動」をしている人も幸福感が高かった。家族構成、収入、疾患数などの条件が同じ人で比較しても同様な結果だった。

 近年の研究で、高齢者の社会活動は要介護や認知症のリスクを軽減させる可能性があり、幸福感は生活の質に影響していることが分かっている。

 中村さんは「他人のために自分の能力を発揮することに、脳が幸せと感じるのではないか。その幸福感は、高齢者の健康や生活の質の維持につながると考えられる」と話している。

◆小物作りや教師経験、サークルに

 「幸福感が高い」とされた大府市を七月に訪ねた。人口九万二千人余りの中にボランティアサークルは七十以上。高齢者は「得意」を生かしながら、生き生きと活動している。

 古いネクタイをリフォームしてポシェットなどの小物をつくる教室を開く上村(かみむら)貞子さん(72)。市シルバー人材センターの部屋で、女性二人に、はさみや針、糸を使ってサンバイザーに作り替える手順を教えていた。営業マンの夫のためにネクタイを手作りした経験を生かす。「子育てなどで地域の人にお世話になった。自分が受けたありがたさのお返し」。図書館で自作童話や詩の読み聞かせもしている。

 同センターでは「シルバー寺子屋」と題し、元教諭らが小学生に週一回勉強を教えている。松原康久さん(71)は小中学校で理科を教えていた。「子どもの成長を今も間近に感じられるのは喜び」。高校の体育教諭だった深谷正郷(しょうご)さん(73)は「この年で忙しく働かせてもらっている」。

 「ふるさとガイドおおぶ」の約四十人は地域の歴史を調べ、独自の観光コース五つを設定、市内外のお客を案内している。会長の阪野隆さん(81)は「実際に歩いて、いろんな人と話をしてかかわれるのがいい」と話した。

 

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