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【暮らし】

<どうする相続>不動産「共有名義」避けて 分筆、現金化…分けやすく

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 代表的な相続財産といえば、土地や建物などの不動産。ただ、きょうだいなど相続人同士の共有名義になっていると、売却や活用に手間がかかるなどして、家族間のトラブルになりやすい。主な相続財産が不動産の場合、相続させる立場の人が、土地を登記上分割する分筆をしたり、現金化して分けたりして、将来の火種をあらかじめ取り除いておきたい。 (砂本紅年)

 東京都内の七十代女性は約十年前、父と死別。父名義の土地約六百平方メートルは、母と兄、弟を含む計四人が共有名義で相続した。持ち分は法定相続割合に準じ、母が半分で、きょうだいが残りを三分の一ずつ。土地は分筆せずに三区画に分け、きょうだい三人がそれぞれ自分名義の家を建て、母は弟と同居していた。二年前、弟が死亡。弟の妻が弟分を相続し、土地は母、兄、自分、弟の妻の共有となった。

 母が昨年亡くなり、母の持ち分を再び相続に。弟分は弟の三人の子どもが代わりに相続し、土地は兄、自分、弟の妻、弟の子ども三人の計六人の共有となった。隣同士でも互いの仲は悪く、普段は口もきかない。女性が今後、持ち分の土地を売りたいと思っても、他の五人全員の同意を得ないと自由にできない。

 そこで、土地を現状に即して三区画に分筆。それぞれの名義にして共有名義を解消した。しかし境界の線引きで対立。分筆のため、土地を交換したり名義を集約させたりする手続きで二百万円超かかった上、金銭負担をめぐってもめるなど後味は悪かったという。

 「不動産を共有名義にしたばかりに、家族関係にひびが入ったという話が絶えない」。東京で相続に関する相談業務をしている曽根恵子さん(63)は話す。

 不動産は現金と違って分けにくい。また、相続人が複数いる場合、とりあえず共有名義にして問題を先延ばしにしがちだ。法定相続割合に即していれば、一見平等な解決法に思えるが、年数がたてば、生活の変化などで、それぞれの相続人の考え方が違ってくる。さらに前出の弟や母のように相続人が亡くなると、その配偶者や子どもらの持ち分が加わり、問題の解決はさらに難航する。

 曽根さんは前出のケースについて「本来なら、父親が亡くなった時、土地の利用状況に応じて分筆しておけば、余計な費用がかからずに済んだ」と話す。

 被相続人(前出のケースでは父)の配偶者は税制上、優遇されている。受け取る遺産の課税価格が一億六千万円か、法定相続分の相当額のどちらか多い方までは相続税が非課税になるからだ。各きょうだいと母親が共有する形で三つに分筆しておけば、節税になる上、いずれ母が亡くなったときにそれぞれが単独名義にし、すんなり相続できた。「共有名義はトラブルのもと。なるべく避けて」

 相続でもめるのは実のきょうだいが圧倒的に多い。親のどちらかが存命のうちは問題が表面化しなくても、両親とも亡くなると、対立に歯止めがきかなくなることも多いという。

 もめないためには、分筆以外にも、売却などで不動産を現金化し分ける方法、特定の相続人が不動産を取得する代わりに、ほかの相続人に相続分に応じた金銭を支払う方法などがある。「親が生前に財産をオープンにして家族と話し合い、分けやすい形にしておくのが望ましい」と呼び掛けている。

◆困り事や体験談募集

 相続に関する困り事や体験談を募集します。メールseikatut@tokyo-np.co.jp、ファクス03(3595)6931。件名に「どうする相続」と記入を。

 

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