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【暮らし】

夫が救助死 ライフジャケット着用訴え 身近な川でも溺れる危険

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 夏に相次ぐ水難事故。中学生以下の子どもに限ると、死亡や行方不明になったケースの半数近くは川で起きており、川で溺れた子を助けようとして亡くなった男性の遺族は、必ずライフジャケットを着用させるよう訴えている。一方、万が一溺れてしまった場合は、あおむけになり、浮いて待つことが重要。夏休みも残りわずかだが、改めて命を守るための方法を親子で確認したい。 (細川暁子)

 「川を絶対に甘く見ないで」。川で家族を亡くした経験から水難事故防止を訴える大阪府茨木市の岡真裕美さん(39)は力を込める。

 二〇一二年四月、岡さんの夫の隆司さん=当時(34)、写真=は自宅付近をジョギング中、中学生と小学生が川で溺れている現場に遭遇。助けようと川に飛び込み、溺れて亡くなった。小学生は助かったが、中学生は亡くなった。

 子どもたちは川底にブロックが敷き詰められた浅瀬で遊んでいて深みにはまったらしい。一見、浅く見えたが、実際には深さが四メートルほどある場所も。隆司さんはダイビングの経験があり、泳ぎは得意だった。

 当時岡さんの長男は五歳、長女は二歳。葬儀後、出棺前に岡さんが泣いていると長男は「お母さん、泣かんといて」と、泣きながら抱きついてきた。「夫の死を無駄にしてはいけない」。そう決心した岡さんは、一三年から大阪大大学院で事故予防について学び、現在は特任研究員として親子や保育士らに、水難事故防止に向けた対策や心構えなどを伝えている。

 岡さんによると、川は岸辺は浅くても、真ん中が急に深くなっていたり、上流と下流で深さが異なっていたりして危険の予測が難しい。一見流れが緩やかに見えても、水面下は流れが速く、複雑なこともあり、岡さんは「自宅付近の川に、そんな危険が潜んでいるとは思わなかった」と話す。

 警察庁の統計によると、一八年に全国の水難事故で亡くなったり行方不明になったりした六百九十二人のうち、場所は海が最多の53・6%で、次いで河川は28・5%。一方、中学生以下の子ども二十二人に限ると、河川が45・5%と最多で、用水路(18・2%)を含めると六割以上を占める。海と湖沼池はそれぞれ13・6%だった。

 今年も事故が相次ぎ、七月には茨城県坂東市で、小学三年の男児(8つ)が自宅近くを流れる川で沈んでいるのが見つかり、死亡。十二日には、愛知県蒲郡市の天神川河口で、ベトナム国籍の男児(4つ)が水深数十センチの場所でうつぶせで浮いているのが見つかり、意識不明の重体となった。

 岡さんは「川は身近にある分、行きやすい。子どもだけで遊んではダメだと言い聞かせ、遊ばせる時は必ずライフジャケット着用を」と呼び掛ける。

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◆浮いて待つことが重要

 自分が溺れたり、人が溺れた現場に遭遇した場合には、どうしたらいいのか。

 東京海洋大大学院の田村祐司准教授(56)は「慌てず『浮いて待つ』ことが重要」と話す。手を上げて「助けて」と叫ぶと、かえって水に沈みやすく、泳ぐと体力を消耗する。それを防ぐため、あおむけになって力を抜き、両手を広げてバランスを取り、息ができる体勢をとり続ける。浮いて安全な状態を確保した上で、助けを求める。

 また、水辺で遊ぶ際はライフジャケットに加え、「マリンシューズ」の着用を推奨。乾きやすく履いたまま水に入れる靴で、溺れた場合は靴を履いている方が浮きやすいという。

 溺れている人を見つけた場合は、助けようとして飛び込むと自分も溺れてしまう可能性がある。「溺れている人に呼び掛け、クーラーボックスなど水に浮きやすい物を投げ入れ、つかまるように指示して」と話す。

 投げ入れる物は、ポリ袋でも大丈夫。中に重りのタオルを入れて口を結ぶと投げやすくなる。ペットボトルの場合は、1本ずつ脇の下に入れると浮きやすくなるという。周囲にも助けを求め、すぐに119番通報する。

 

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