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【暮らし】

来夏は親子で富士山へ 今から「練習登山」を

矢野さん率いる親子登山の参加者たち。富士山を望む宝永山山頂で絶景に万歳

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 標高3、776メートルを誇り、日本一高い富士山。世界文化遺産にも登録され、登山者にとっては憧れの山だ。今季は10日で閉山したが、「来年は親子で一緒に登りたい」と夢見る人もいるのでは? 心構えや訓練など今からできる準備を紹介する。 (五十住和樹)

 八月中旬、富士山五合目に四つある登山口の一つ、標高二千四百メートルの富士宮口。午前九時すぎに集まったのは小学三年から中学三年の男女七人とその親ら計十四人だ。三十分ほど付近を歩くなどして山の空気に体を慣れさせた後、山頂を目指し歩きだした。

 子ども七人のうち三人は初めての富士登山。この日に向け、東京近郊に位置する五九九メートルの高尾山などで「練習登山」を重ねてきたという。一行は七合五尺にある山小屋で一泊。翌日午前四時ごろ、無事、山頂にたどり着いた。御来光を拝んだ子どもたちの笑顔は、達成感に満ちていた。

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 富士山の頂上までの標高差は、最も少ない富士宮口からでも約千四百メートル。一行を率いた日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、矢野政人さん(48)は「来年の富士登山を目指すなら、この秋から練習登山を始めて」と呼び掛ける。まずは、標高差が四百メートル程度のコンパクトな山から挑戦するのがいい。目安は来年三月までに三回ほど。七月の開山に備え、四〜六月の三カ月間は標高差七百〜千メートルの山に二回ほど登っておこう。

 いずれも日帰りができる山でOKだが、気を付けたいのは本番と同じ装備で登ること。登山靴を履くことはもちろん、長袖、長ズボン、雨具、肌が弱い子なら日焼け止めも忘れてはいけない。富士山の登山道は火山特有の砂礫(されき)道のため、靴に小石が入らないよう、かかとまでを覆うスパッツも必要だ。装備を整えた上で山頂までたどり着く経験を重ねれば自信がつく。

 こまめに食べたり飲んだりすることに慣れるのも、子どもにとっては大事。登山中は基本的に歩きっぱなしで、普段のように決まった時間に食事が取れない。休憩の際にはできるだけ口に物を入れ、体力を回復させたい。加えて、疲れた時でも食べられるものを見つけておくと役に立つ。

 富士山は標高が高く、酸素が薄い。高山病の危険に備えた準備も必要となる。疲れて呼吸が浅くなると、症状が出やすいため、呼吸法を練習しながら登るといい。息を出し切ることを意識するのがポイント。そうすれば、吸う時に酸素が多く入ってくる。

 練習登山の際、親は子どもをよく観察しよう。調子のよい時、飽きた時、疲れた時…。子どもがどんな反応や変化を示すかを知っておくと、本番でも対応しやすい。万が一、子どもが疲れて荷物を持てなくなった時、自分が代わりに背負って歩ける体力があるかどうかも確認。なければしっかり鍛える必要がある。

 成功の鍵は、親も子どもに戻って満喫することだ。子どもが珍しい花や虫を見つけてしゃがみこんでも、せかさず一緒に眺めよう。子どもがぐずっては元も子もない。歩き疲れた時にはやる気が出るまで黙って待ち、目を合わせて励ますことも力になる。

 矢野さんは六年前、当時五歳だった息子と富士山登山に成功。以降、毎年親子で登っている。登山道は狭く手をつなぐことはできない▽対向の人とすれ違う際は登りの人が優先−などマナーもしっかり教えて臨んだという。「山では親子は対等、相棒。指示はできるだけしないように」とアドバイス。「子どもが一歩一歩進む大切さを学び、自信を深めていく過程を共にできるのが親の喜びです」と登山の魅力を話す。

 

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