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【暮らし】

バリアフリーの店 紹介本  味良し理解あり…厳選90軒

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 編集者兼ライターの和久井香菜子さん(48)=東京都調布市、写真=が、1都3県のバリアフリーの飲食店を紹介した雑誌「散歩の達人 首都圏バリアフリーなグルメガイド 車いす・アレルギー・やわらか食対応の店」(交通新聞社)を出版した。「来年は、国内外の障害のある人が大勢やってくる東京パラリンピック。お店選びの参考にしてほしい」と話している。 (砂本紅年)

 和久井さんは四月、障害者による文字起こし業務の合同会社「ブラインドライターズ」を立ち上げ、代表社員を務める。視覚障害者十八人、車いす使用者二人、高次脳機能障害のある男性と健常者の妻の夫婦一組が働く。

 四年前から個人事業で障害者と仕事をしている和久井さん。打ち合わせなどで飲食店に集まる際、「車いすが入れる個室があるか」「盲導犬OKで、かつ食物アレルギー対応をしているか」など、条件に合う店を見つけるのに苦労し、店も限られていた。

 「障害者が利用しやすく、食事もおいしい店を紹介するグルメ本があれば便利」と思い立ったのが製作のきっかけ。意気投合したライター仲間の赤谷まりえさん(36)=豊島区=とネット検索などで飲食店をリストアップした。四月から二人で東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県の計百二十軒以上を取材した。

 入り口の幅や、店内の段差・スロープの有無などハード面に加え、「食材の切り分けにできる限り対応」「片まひや嚥下(えんげ)食など何でも相談できる」などのソフト面も重視し、九十軒を厳選した。スタッフの理解があり、相談しやすい雰囲気であれば、完全なバリアフリーでない店も掲載。店内のトイレの写真も載せた。

 食材や健康へのこだわりなど料理情報も満載。和洋中、カフェなどのジャンルはもちろん、「とっておき」など用途別の編集もした。

 「誰でもいつか車いすや補助犬を利用する可能性はある。設備が100%バリアフリーでなくても、心のバリアーを取り除くことが大事」と和久井さん。「多様性が尊重され、こういう本が不要な社会になってほしい」と願っている。グルメ本はA4変型判、オールカラー、112ページ。1512円。

◆店主の利用経験生かす 車いすOKのラーメン店

 掲載店の一つ、東京都葛飾区の「麺屋 淳陛(じゅんぺい)屋」は、ラーメン店では珍しいバリアフリー。カウンターのみだが、十席のうち四席は取り外しでき、車いすのままカウンターで食事できる。通路は壁まで約二・一メートルと幅広で、トイレも車いすで入れるゆったりとした設計だ。

 店主の坂内淳さん(45)=写真=も車いす利用者。十九歳の時の交通事故で、脊髄を損傷し車いす生活に。ショックで三年間引きこもったが、趣味だったラーメンの食べ歩きを思い出し、「自分の店を持ちたい」という気持ちがわいてきた。

 調理師学校に問い合わせても「車いす利用者の入学は想定していない」。三校目で入学できる学校を見つけ、調理師免許を取得。人気店での修業も「車いすじゃ厨房(ちゅうぼう)に入れない」と断られたが、二十回以上足を運んで食い下がったことも。千葉県などの三店で働き、昨年十一月、念願の店を開いた。

 「車いす利用者でも気楽に食べに来られる店にしたかった」と坂内さん。「店主を見て、『自分も負けられない』と元気を出してもらいたい」と話している。

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