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【暮らし】

夫婦別姓へ「思い同じ」 第2次訴訟、近く判決 法制化求める人たちに聞く

左手の薬指に指輪をした佳代さん。妻(未届)と記された住民票が事実婚の証しとなっている=都内で

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 夫婦別姓を望む婚姻届が受理されず、法律婚できないのは違憲として、昨年五月、事実婚夫婦らが国に損害賠償を求め、全国三カ所の地方裁判所に提訴した「第二次夫婦別姓訴訟」。判決言い渡しが十月二日の東京地裁を皮切りに始まる。「思いは原告と同じ」と、訴訟の行方を見守り、選択的夫婦別姓の法制化を願う人たちの声を聞いた。 (砂本紅年)

 「法制化を待つ間も、多くのことをあきらめなければいけない人がいることを知ってほしい」。横浜市の団体職員佳代さん(41)=仮名=は勝訴を願いつつ、国に速やかな方針転換を求める。

 佳代さんは三人姉妹の長女。先に結婚した妹二人は姓を変えた。「家族の姓を守りたい」という佳代さんの思いに、パートナーの男性会社員(38)は「ぼくが変える」と提案。だが佳代さんは「自分が嫌な改姓を大切な人に強いたくない」と、事実婚をやむなく選択。今春、パートナーと東京都内から横浜市に転居し、新婚生活を始めた。

 法律婚でないため不利益もある。不妊治療を始めたが、横浜市では事実婚夫婦は助成が受けられない。国際非政府組織(NGO)で働く佳代さん。「学校に通わなくていい」「十五歳で結婚するのが当たり前」という国々の女の子を支援する。結婚時に96%の女性が改姓する日本の「当たり前」も根底に女性差別があると感じ、「途上国で闘う女の子たちのように、私も声を上げなければ」との思いを強くしている。

 「通称名と戸籍名の使い分けで、さまざまな不利益を被った。別姓が認められないなら、いっそ日本国籍を捨てた方がいいかもしれないとさえ思う」。国立大の教員で、海外の大学での共同研究や学会発表が多い早紀さん(46)=仮名=は、ため息をつく。

 旧姓(通称名)で発表してきた研究業績、学位証明書を生かすため、同じ研究職のパートナーとは事実婚を選ばざるを得なかった。約十年前に出産、家族三人で数年間、パートナーが勤めたオーストラリアで暮らした。その際、永住権ビザの申請には、日本で婚姻している証明書が必要なため、女性はパートナーの姓に変え、婚姻届を提出した。

 その後も早紀さんは通称名で仕事をしている。オーストラリアでは、利便性を考え、免許証、銀行口座などはすべて通称名を使い、パスポートなどは戸籍名を使用。問題なく生活していたが、役所に娘の出生証を取りに行った時、免許証とパスポートの提示を求められ、二つの姓が違うことについてトラブルに。

 夫婦別姓が認められているオーストラリアで、早紀さんが「仕事の都合で免許証や職員証は通称名を使っている」といくら説明しても理解を得られない。役所から「二人の人間になりすましているとして犯罪行為が疑われる可能性がある」と注意を受けた。

 姓の併用解消には、日本で離婚手続きをしてパスポートを旧姓に戻すか、オーストラリアでの身分証明書をすべて結婚後の姓に変えるか、のいずれかだ。後者を選んで戸籍名にすれば研究業績は引き継がれず、研究者生命は実質絶たれる。

 第一次夫婦別姓訴訟で、別姓を認めない民法の規定を合憲とした二〇一五年の最高裁判決は「旧姓の通称使用が社会的に広まっており、不利益は緩和されている」などとしたが、早紀さんは「こんな問題で悩んでいることは、国際社会では理解されない。判決を待つまでもなく早く現状を変えて」と訴える。

 

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