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【暮らし】

<わたしの転機>病に負けず蘇生法普及 人工透析を受けながら 救命ボランティア会長

「落ち着いてやれば、誰でもできるようになります」とAEDを扱う加藤さん=岐阜県土岐市で

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 「命ほど尊いものはない」と誰もが言う。だが、口で言うのと、命に刻むこととではまったく違う。モーレツ社員だった岐阜県土岐市の加藤直幸さん(60)は、一時は死を覚悟した重い腎不全に見舞われ、現在は人工透析で命をつなぐ。命の大切さを心に刻み、地域で心肺蘇生法と、自動体外式除細動器(AED)の普及に励む。 (三浦耕喜)

 ボランティア団体「レスキューハート・土岐」の会長を務めています。意識をなくして倒れた人の心肺蘇生法と、AEDの取り扱い方の指導を土岐市消防本部と連携して行っています。私たちの講習を受け、実際に役立てた人もいます。

 レスキューハートには十年ほど前、メンバーの知人から誘われ、参加しました。地域貢献、近隣友好に興味があり、ご近所のためなら、というのが当初の動機でした。

 当時は建設関係の仕事で、全国を飛び回っていました。地元にいるのは、年に百日あったでしょうか。レスキューハートを始めて六年後、会社の健康診断で、腎臓の異常を指摘されました。血中の「クレアチニン」と呼ばれる物質の数値が、人工透析も視野に入れるべき「慢性腎不全の末期」の状態だと。

 同じ頃、レスキューハートの会長に。ただ、数値が上がるたびに倦怠(けんたい)感がつらくなり、ついに、二年前の十一月に人工透析を始めました。

 この左腕を見てください。ひじの裏側に、いぼのようなこぶがたくさんあるでしょう。「シャント」といって、人工透析で血液が出入りするための穴を確保するためのものです。

 ですが、これもずっと使っていられるわけではありません。やがてふさがってしまうので、場所を変えたりします。

 透析に通うのは週三回。だいたい、いつも四時間くらいかかりますね。仕事にできるだけ影響しないよう、午後五時からの夜間透析です。このような体となり、はじめて「命の大切さ」が身に染みて分かるようになりました。

 会長は一時、辞退させていただきました。ですが、役員の皆さんは私にこう言うのです。「自分たちがしっかり補佐する。だから、加藤さんには会長を続けてほしい」と。それで続けようと決意したのです。

 適切な救命法を身に付けた人を地域に増やすこと。そして多くの命を救うこと。病の身ながら会長を務める私の使命です。

 

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