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【暮らし】

<食卓ものがたり>味に「とげ」なく万能選手 サボテン(愛知県春日井市)

緑色に育ったサボテンを見せる後藤容充さん=愛知県春日井市で

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 苦いかな…と身構えつつ、うちわ状の茎を生のままかじると、さわやかな酸味が広がった。かんでいると、オクラに似たネバネバ感も。見た目と違って味にはとげがない。

 サボテンの一大産地として有名な愛知県春日井市の桃山地区。七戸の生産者で唯一、食用のウチワサボテンを育てる「後藤サボテン」の五百平方メートルのハウスは、サボテンで埋め尽くされていた。高さ七十〜八十センチ。「鋭いとげとは裏腹に、どんな料理にも合う食べやすい味。そのギャップが面白い」と社長の後藤容充(ひろみつ)さん(38)は笑う。年間三〜四トンを収穫し、全国の飲食店などに出荷する。

 サボテンは栄養価が高いことで知られる。名城大(名古屋市)の分析によると、ベータカロテンやビタミン、食物繊維などが多く、糖尿病や動脈硬化などの予防に効果的。生のままサラダにしたり、焼いてステーキにしたりと、調理法はさまざまだ。

 「ノパル」と呼ばれ、メキシコでは日常的に食べられているサボテン。春日井で作られるようになったのは、一九五九年の伊勢湾台風がきっかけだ。桃山地区は当時、リンゴやモモなどの果樹栽培が盛んだったが、壊滅的な打撃を受けた。リンゴ農家だった後藤さんの祖父も被災。「風がすごくて、木々が倒れる中を逃げたそうです」

 復興を目指す桃山地区では、数軒の農家が台風前から試験的に栽培していたサボテンに着目。園芸ブームに乗ってサボテンが人気になるにつれ、産地として名を上げた。観賞用に加え、食用サボテンの生産とPRに力を入れ始めたのは十年ほど前。同市内の学校給食にも食材として使われるなど「サボテンを食べる街」という認識が広がりつつある。後藤さんは「春日井を代表する野菜として定着させたい」と夢を語る。

 文・写真 河郷丈史

◆味わう

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 春日井市内の飲食店や菓子店、食品メーカーでは、サボテンを使ったアイスやどら焼き、きしめん、あめ、炭酸水など約30種類の加工品を販売している。豚ばら肉とサボテンを交互に串に刺して焼いた、ネギマならぬ「サボマ」を提供する和食店も。加工品の一部は、サボテン関連商品を取り扱うJR勝川(かちがわ)駅近くの「春日井さぼてんラボ&ショップ こだわり商店」でも販売=写真。清水屋春日井店の生鮮食品売り場では生のサボテンも並ぶ。春日井商工会議所=電0568(81)4141

 

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