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【暮らし】

生前整理のススメ 体力あるうちに 感謝して手放す

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 高齢で介護が必要になったり、自宅の管理が負担になったりして、バリアフリーのマンションや高齢者施設への住み替えを考える人もいるだろう。特に一戸建ての場合は物が多く、引っ越しのための片付けで苦労し、骨折などのけがにつながるケースもある。生前整理に詳しい専門家は、体力のあるうちに家の片付けを始めることを勧める。 (河野紀子)

 「家の片付けは想像よりもはるかに大変だった」。昨年十一月、愛知県春日井市の一戸建てから名古屋市北区のサービス付き高齢者住宅(サ高住)に夫婦で移り住んだ女性(77)は言う。

 同居していた娘夫婦が関西に転勤になり、孫二人も大学進学で家を離れた。6LDKの自宅は夫と二人では広すぎ、掃除や庭の手入れなども負担になった。最寄り駅までバスで三十分近くかかり、車がないと生活できない。体力の衰えや運転への不安も感じ、見守り付きのサ高住への住み替えを決めた。

 新居は3DK。決して狭くないが、大型の本棚、孫たちが使っていた机やベッドなどの家具、洋服や調理用具など九割以上は処分せざるをえなかった。

 本格的に荷物の整理に取り組んだのは引っ越しの一カ月前。三歳下の妹が泊まり込みで手伝ってくれ、なんとか片付けを終えた。だが、妹は重い本を持ったときに腰を痛めて整形外科に通った。女性も片付けに疲れ切り、体重が五キロ減った。「もっと計画的に片付けをしていれば、こんなに苦労しなかったかもしれない」と後悔する。

 女性が入居したサ高住を運営するコミュニティネット(名古屋市)によると、重い家具などを移動させる引っ越し作業は重労働で、腰痛や圧迫骨折などのけがをする高齢者は多い。このサ高住の入居者でも二割に上るという。

 東海地方を中心に生前整理を手掛ける生前整理診断士の知念亜希さん(48)=春日井市=は「いつかやろうと先延ばしにせず、体力のあるうちに片付けを始めてほしい」と話す。子どもが独立するなど家族構成が変わる、高齢で体力が落ちたと感じるといったときが、片付けを始めるよいタイミングだという。

 片付けるポイント=イラスト参照=は、普段の生活で実際に使っているものと、そうではないものを区別し、使っていないものはできるだけ処分すること。もったいないと思ったときは、「いつ使うか、誰が使うのか」と自問する。一人では判断しづらい人は、家族と一緒に作業すると客観的に考えやすい。物の状態が良ければリサイクルに回して有効活用するのも手だ。

 最も迷うのは、形見など思い出の品。使わないといって処分した後に後悔することも少なくない。通常のものとは別の箱などに分けておき、後で落ち着いて判断する。

 また、片付ける際はけがをしやすいので、慎重に作業する。特に本や家具など重いものを持つときは、急に持ち上げて腰などを痛めないように気を付ける。

 知念さんは「戦前戦後の物がない時代を知る高齢者は、特に物を大切にする。気持ち良く手放すために、『ごめんなさい』ではなく、『これまで使わせてくれてありがとう』と心の中でつぶやいて」と助言。「物が少ないと掃除や整理がしやすく、住み替えが必要になったときも苦労が少ない。より快適な生活のためにも、片付けを進めてほしい」と話した。

知念亜希さん

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