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【暮らし】

<縁のカタチ 多様な性>同性婚(中) 子育ての夢かなえたい

2人のウエディングフォトを手に、「同性婚を認めてほしい」と語る鷹見さん(右)と大野さん=名古屋市内で

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 「私たちは子どもが好きですし、子どもを育てていきたいと考えています」

 四月中旬、名古屋地裁で開かれた同性婚訴訟の第一回口頭弁論。同性婚ができないことの憲法上の是非を問う日本初の訴訟の意見陳述で、原告の一人で、男性同性愛者(ゲイ)の鷹見彰一さん(仮名)が、もう一人の原告でパートナーの大野利政さん(同)と子どもを育てる夢を語った。

 二人は三十代で、結婚契約に関する公正証書を作り、昨年一月に「結婚」。共同で購入したマンションで一緒に暮らす。ともに子どもが好きだが、二人の間で子どもを授かることはできない。

 だが、大阪市のゲイのカップルが二年前、同性カップルとして初めて、親元で生活できない子どもを育てる「養育里親」に認められ、子どもを迎えたことをニュースで知り、「自分たちも」と考え始めた。

 養育里親は児童福祉法に基づき、親の死亡や虐待、経済的事情などで家庭での養育が困難な子どもを引き取って育てる里親制度の一つ。原則十八歳未満の児童を引き取り、一定期間育てる。

 認定要件として「保護が必要な児童への愛情があり、経済的に困窮していないこと」などと規定。親権は実親が持ったままで、単身や同性同士の世帯でも可能だが、子どもを預かる里親の多くが夫婦だ。

 今春に所管する児童相談所に行き、職員に真剣な思いを伝えると、「男女の夫婦と変わらず、温かな家庭を築いていることが分かった」と言ってもらえた。七月に申し込み、十月から研修が始まっている。調査や審議も経て順調に進めば、来春にも認められるかどうかが決まる。

 里親として認められ、二人で子どもを育てることができれば、うれしい。だが、複雑な思いもある。男女の夫婦ならば、将来的に養子縁組して親権を持つ「養子縁組里親」になることができる。だが、同性婚が認められていない日本では、二人は法律上は「赤の他人」。養子縁組里親を選ぶことはできない。

 里親とは別に、子どもと養子縁組をすれば親子になれるが、同性カップルの場合は二人とも独身者扱いで、親子関係を結べるのはどちらか一人。一緒に暮らし、二人で子育てをしていても、親権がない方は法律上は他人で、もし親権者が急病などで亡くなると、子どもは親のいない不安定な立場に置かれる。

 自らもゲイで、同性愛者の人権を研究している中京大の風間孝教授(52)は「昔は夫婦と子どもの世帯が当たり前だったが、いまは単身世帯、ひとり親と子どもの世帯、同性カップルなど家族のカタチが多様になっている」と指摘。「同性カップルにも結婚を認めることで、子どもや家族の関係を保護することが重要」と話す。

 鷹見さんは現在、会社員で、公務員の大野さんと共働き。もし、同性婚が認められ、子どもを迎え入れることができるなら、仕事はパートにして大野さんの扶養に入り、子どもが高校を卒業するまでは子育て中心の働き方にしたいと考えている。

 一方、国は訴えに対する準備書面で「憲法は同性婚を想定していない」と主張。全面的に争う姿勢を示している。

 鷹見さんは言う。「なぜ、男女間で認められることが、同性間では認められないのか。男女といった目線ではなく、人と人の愛に着眼して判断してほしい」

 

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