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【暮らし】

<縁のカタチ 多様な性>同性婚(下)  自由な結婚 世界の潮流

提訴のため名古屋地裁に向かう原告団ら=2月、名古屋市中区で

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 「ハネムーン」は日中の街中で手をつなぎ、肩を寄せ合って歩いた。男性同士のカップルとして、人目を気にせず満喫した。

 男性同性愛者(ゲイ)のカップルで、愛知県で同居するともに三十代の会社員鷹見彰一さん(仮名)と公務員の大野利政さん(同)が、昨年末から今年一月に初めて訪れたオーストラリア。二〇一七年に同性婚が認められ、旅先に選んだ。

 人混みのシドニーやゴールドコーストではたくさんのゲイや女性同性愛者(レズビアン)たちが当たり前のように寄り添う。鷹見さんと大野さんが恋人として振る舞っても、周囲は全く気にしない。空港で旅行の目的を聞かれ「ハネムーン」と伝えると「すごくいいですね!」と歓迎された。

 鷹見さんは「日本では『えっ』という感じで見られてしまう」と言い、暗い夜などにしか手をつなげない。大野さんもゲイであることを告げているのは母親だけ。国に同性婚の権利を求め、二月に名古屋地裁に提訴した訴訟も、仮名だ。

 同性婚の推進に取り組むNPO法人「EMA日本」(東京)によると、オーストラリアのように同性婚を認める国は増えている。〇一年のオランダを皮切りにスペインや南アフリカ、フランス、米国などが続き、現在計二十七カ国・地域に拡大。今年五月にはアジアで初めて台湾が名を連ねた。いずれも、異性、同性婚を問わず同等の権利が得られる制度となっている。サミットの主要七カ国で認められていないのは、日本とイタリアだけだ。

 かつて同性愛は精神疾患とみなされ、欧米では同性間の性行為を処罰する法律(ソドミー法)もあった。欧米を中心に同性愛者の人権回復を求める運動が盛んになり、世界保健機関(WHO)は一九九〇年、疾病分類から同性愛を削除。ソドミー法も撤廃された。

 一方、日本では同性婚の議論は始まったばかりだ。大きく動いたのは二〇一五年。東京都世田谷区と渋谷区が、同性同士を「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行する同性パートナーシップ制度を始めた。同年、全国の同性愛者ら約四百五十人が、同性婚ができないのは「重大な人権侵害」として、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。

 パートナーシップ制度が始まった当初、鷹見さんは「東京だからできる」と冷めた目で見ていた。しかし、三重県伊賀市や茨城県など地方や県単位にも拡大。現在、一県と二十六市区町に制度があり、その総人口は千四百万人に上る。

 ことし九月には、分岐点になり得る判決も。長年同居した同性パートナーの不貞行為をきっかけに関係が破綻したとして、三十代女性が損害賠償を求めた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部は二人が「事実婚(内縁)」に準ずる関係で、法的保護の対象になると判断。元パートナーの女性に慰謝料百十万円の支払いを命じた。

 これまで男女間を前提としてきた事実婚の関係を同性間にも認定。さらに、憲法二四条が婚姻を「両性の合意のみに基づく」としているのは、「憲法制定当時は同性婚が想定されていなかったからにすぎず、同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」と判示した。

 オランダが世界で初めて同性婚を法的に認めて十八年。鷹見さんと大野さんは願う。「結婚を選択する自由をすべての人に与えるという先進国らしい判断をしてほしい」

 (この連載は、河野紀子が担当しました)

 

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