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【暮らし】

食に配慮し「健康経営」 社員食堂で食育・休憩所におかず…

揚げ物税とお魚還元を反映させた値段を表示した社員食堂のメニュー板=東京都千代田区のヤフーで

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 良い仕事は健康な食生活から−。社員食堂やオフィスでヘルシーなメニューやおかずを提供し、社員の健康づくりをサポートする企業が増えている。少子高齢化で人手不足が深刻さを増す中、従業員の健康管理を重視する「健康経営」をアピールすることで、優秀な人材確保につなげたい考えだ。 (平井一敏)

 ネット大手のヤフーは十月から、東京都千代田区の本社内にある社員食堂に、名付けて「揚げ物税」を導入した。肉の揚げ物料理を百円値上げする一方、魚料理は「お魚還元」と称して百五十円値下げ。肥満やメタボリック症候群の原因となる脂質が多い揚げ物を控え、コレステロールを減らす働きがある魚を多く食べてもらおうという試みだ。

 ほぼ毎日食堂を使うという社員の川村彰彦さん(30)は、この日、焼き魚定食を選択。「食費を節約できるし、体にも良い」と笑顔を見せた。ヤフーによると、揚げ物税の導入後、豚カツや唐揚げといった揚げ物料理の販売数は以前の三分の一ほどに減り、魚料理は二倍以上に増えたという。

 食堂では二〇一六年の開設時から、食器の裏に料理の栄養素情報の入ったICチップを添付。社員証を使った決済時に、摂取した栄養素を一人一人の社員証に読み込んでいる。それを分析した結果、二十〜四十代を中心に、脂質を取りすぎている人が多いことが分かった。一七年度の健康診断では全社員の半数近くに悪玉コレステロールの異常が判明。食生活の改善を促そうと、懐を直撃する消費税増税に合わせ、揚げ物税導入とお魚還元を始めた。

 二年前からは、朝食を取らず出勤した社員のためにと、無料でおにぎりとみそ汁の提供もする。食堂運営を担う管理栄養士の沼田瑞木さん(39)は「社員食堂は大人の食育の場。バランスの取れた食事をしている人ほど仕事で高い成果を上げられることをデータで証明したい」と意気込む。

 調理場を設けるスペースがない企業では、健康に配慮したレトルトの食事を常備する動きも。名古屋市中区の加工わさびメーカー「金印」は昨年七月から、オフィス隅の休憩コーナーに小型冷蔵庫を置き始めた。中には、最大五十食分の肉じゃがやサバのみそ煮など約十五種類のおかず。全て一つ百円で、社員は好きな総菜を買い、電子レンジで温めて食べる仕組みだ。

 おかずを定期的に届けているのは、職場の環境改善を手掛けるOKAN(東京都豊島区)だ。その名も、社食サービス「オフィスおかん」。添加物や保存料をほぼ使わない調理が特徴で、メニューは管理栄養士が監修している。五年前に都内でスタートさせたが、健康経営の広がりとともに導入企業が増え、現在は中小企業を中心に全国で約二千社が利用している。

 金印では、おかずを買って持参したご飯と食べたり、持ち帰って家族の弁当に入れたりする社員もいるという。総務人事部の木下優子さん(47)は「こうした試みは、社員を大事にする会社のアピールポイントになる」と人材確保への効果を期待する。

 経済産業省は、社員の健康管理に取り組む企業が社会的に評価される環境づくりを目指している。食生活の改善は、同省などが認定する健康経営優良法人の評価項目の一つだ。優良法人の認定に関わるNPO法人健康経営研究会(大阪市)理事長の岡田邦夫さん(68)は「社員が健康に働き続ければ労働生産性が高まり、企業の成長につながる」と説明。「食生活は健康の土台。ヘルシーな味付けや量、食べ方などを会社で学ぶことができれば、普段の暮らしにも生かせる」と呼び掛けている。

レトルト総菜を提供する社食サービス=名古屋市中区の金印で

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