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【暮らし】

自然体のオシャレ提案 60代向けファッション誌好評

グレーヘアのモデルが目を引く60代向けファッション誌「素敵なあの人」シリーズ

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 「宝島社」(東京)が主に六十代を読者層に想定し、九月に創刊した女性ファッション誌「素敵(すてき)なあの人」が好調だ。今の六十代は日本の女性ファッション誌の黎明(れいめい)期に青春を過ごしたおしゃれに敏感な世代で、創刊号は十万部を完売し、第二号も勢いが続く。脱「シニア」を掲げる一方、特有の体形に合わせた着こなしの特集を組むなど、加齢を前向きに捉え、自然体で楽しむ編集方針が心をつかんでいる。 (植木創太)

 白髪を染めない「グレーヘア」に、白いシンプルなトップスとパンツ。黄色いカーディガンをさりげなく羽織るコーディネートが笑顔を引き立たせる。目尻のしわも魅力的に見える。創刊号と第二号の表紙を飾るのは、若者向けファッション誌「an・an(アンアン)」の創刊期に十代で活躍したハーフモデルの結城アンナさん(64)だ。

★年にあらがわない

 「年齢にあらがわず、今の年齢を自然体で楽しむ。『成熟した大人の女性』のおしゃれを提案したい」と話すのは、編集長の神下敬子さん(46)。六十代の女性向けファッション誌は日本では初めてという。

 現在の六十代は、女性の社会進出が進み、「non−no(ノンノ)」「JJ」などの女性ファッション誌が相次いで創刊した一九七〇〜八〇年代に十代を過ごした。おしゃれに関心が高く、センスのいい人も多いといい、雑誌不況と言われる中で創刊に踏み切った。

 紹介する服はカジュアルが中心で、手持ちの服でおしゃれに見える方法や、加齢による体形の変化に合わせたコーディネートなどの企画が並ぶ。

★無理しない着回し

 例えば、六十代は外反母趾(ぼし)に悩んだり、足のアーチが崩れたりして靴選びが難しくなるため、モデルが履くのはヒールの高い靴ではなく、スニーカーやローファーが中心だ。おなかのラインが気になる人には、ゆったりとしたトップスをパンツに入れる着こなしを紹介している。

 神下さんによると、従来は「若々しさ」がもてはやされ、「アンチエイジング」などとして若作りで似合わない服を着たり、化粧をしたりする人も少なくない。だが、編集部が街中で「おしゃれ」に見えた六十代は、無理をせず、重ねた齢(よわい)に似合う装いをした人が多かったという。

 月刊で、発売日を年金支給日に重なる毎月十五日前後にするなど、年齢を意識したつくりにする一方、「シニア」や「高齢」といった文字は極力使っていない。神下さんは「『シニア』という言葉に、従来の高齢や加齢のマイナスイメージを持つ人もいる。今の六十代は違うという点を明確に打ち出したい」と話す。

 愛読者で、愛知県豊橋市で服飾店を経営する鈴木恵美さん(61)は「おしゃれを楽しみたいのに、体形が変わって着る服に悩む女性は多い。記事はとても参考になる」と話す。

◆シニアと呼ばないで!

 博報堂新しい大人文化研究所(東京)が二〇一七年に四十〜六十代の男女約九百人に実施した調査では、六十代の九割弱が「シニアと呼ばれたくない」と回答。「シニアと呼ばれて自分のことだと感じる」と答えた六十代は41%で、一二年と比べて15ポイント少なかった。

 名古屋市中村区の百貨店「ジェイアール名古屋高島屋」は四〜六階の婦人服売り場について、年代別のフロア分けを二年前に廃止。今年八月に「いくつになってもおしゃれを楽しみたい人向け」というコンセプトを掲げ、幅広いサイズ展開とオーダー機能をうたう「マイコンフォートサロン」を新設した。

 担当の三上浩さん(47)によると、体形変化といった加齢による悩みを持つ女性に好評という。

 

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