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【暮らし】

<食卓ものがたり>新一万円の顔が愛した郷土食 煮ぼうとう(埼玉県深谷市)

素材や調理法にこだわった煮ぼうとう。野菜たっぷりで体が温まる=埼玉県深谷市で

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 新一万円札の顔に決まった実業家・渋沢栄一。出身地の埼玉県深谷市では毎年、命日の十一月十一日に、渋沢の好物とされる郷土料理「煮ぼうとう」を食べて遺徳をしのぶ「煮ぼうとう会」が催されている。

 しょうゆ味で、薄い幅広めんが特徴の煮ぼうとう。小麦の生産地の深谷で、古くから農家などで食されてきた家庭料理だ。

 「ほうとう」といえば山梨県が思い浮かぶが、「武州煮ぼうとう研究会」事務局長の榎本博光さん(69)は「甲州のほうとうはみそ味で、カボチャも入って甘ったるい」と対抗心を燃やす。一方、煮ぼうとうは名産・深谷ネギなど地元野菜がたっぷりでヘルシー。生めんから煮込むので「とろみ」も出て冷めにくい。「知名度は劣るが味では引けを取らない」

 研究会は二〇〇三年、市民十数人が立ち上げた。同年には「どっちが本家か決めよう」と、屋台の売り上げ対決を企画した。二年続けて山梨に敗れたが、話題性もあって知名度は徐々に向上。各地で普及活動を続けて、埼玉を代表するB級グルメに成長させた。

 市内で煮ぼうとうを提供する飲食店は約二十。「洋食と煮ぼうとうの店 虎ひげ」は手打ちめんに、削りたての本節などを使っただし、厳選した調味料、ネギやニンジン、サトイモ、鶏肉など十一種類の具をいれたこだわりの一品。店主の渡辺昭雄さん(76)は「調理法を試行錯誤しながら納得の味に仕上げた」と胸を張る。

 食べてみた。幅約三センチのめんは、つるっとしてこしがある。だしが効いた汁には野菜のうま味もしっかり染みている。体も心も温まり、これからの季節にぴったりだ。

 二一年には渋沢の生涯を描くNHK大河ドラマも始まる。ブームが期待される中、市商工振興課は「煮ぼうとうを全国にPRしたい」と張り切っている。

 文・写真 砂本紅年

◆味わう

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 「セブン−イレブン」は数年前から秋冬限定で、関東地方を中心に「煮ぼうとう」=写真手前=を販売。持ち帰りは429円。開発に携わった「武州煮ぼうとう研究会」会長の根岸祥次さん(71)は「知らない人たちにも食べてもらいたい」。

 同会は、入れるだけで本格的な煮ぼうとうになる「ふっかちゃん麺つゆ」=写真奥=を地元食品メーカーと開発した。500ミリリットル入り594円。深谷市内の一部スーパーや、道の駅などで入手できる。

 同市内では2020年3月末まで、煮ぼうとうなどのスタンプラリーを実施。三つ集めるとグッズなどの応募はがきになる。深谷商工会議所=電048(571)2145

 

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