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【暮らし】

<家族のこと話そう>大好きな母 兄と介護 タレント・新田恵利さん

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 一九八五年のクリスマスイブ、大正元年生まれの父が亡くなりました。ソロデビューの一週間前でした。小学校入学の時、私に包丁とリンゴを渡し「皮をつなげてむけるようになりなさい」と、家事のしつけに厳しかった父。思春期で父との会話は最低限という中での急な他界でしたから、後悔ばかりが残りました。親孝行、何もしなかったなぁって。

 二〇〇〇年に、神奈川県の自宅を二世帯住宅にして母(91)を呼び寄せました。私は本当に母が大好きで大好きで。母と愛犬とは一緒に暮らしたい。主人(50)にプロポーズされたときに「私と結婚すると犬とババアがついてっくるよ」って。一四年に母が要介護状態になった時、今できる親孝行だからとずっと頑張ってきました。父に何もしてあげられなかったという後悔がずっとあったからです。

 母は骨粗しょう症で背骨を圧迫骨折して入院。買い物も犬の散歩も元気にしていたのに、一カ月後に退院したら立つことすらできず要介護4。まさか突然、寝たきりになるなんて。兄(54)が東京での仕事を辞めて同居してくれて、兄妹での在宅介護が始まりました。

 最初の一年は「母のために」と本当に一生懸命。でも、頑張って作った料理を「いらない」と言われたり報われないことも。無理しないで出来合いのものを買ってくるなど、少しずつ自分の中で折り合いをつけていきました。おむつのケアには苦労しました。排せつ介護の番組がきっかけで、ヘルパーや看護師などが主に受講する「おむつフィッター」の資格も取りました。

 在宅介護のコツは、一人で抱え込まないこと。兄とは時間を調整し、それぞれ仕事をしながら介護を続けています。訪問介護や訪問リハビリ、デイサービスを利用。ストレス解消にと私は友だちと旅行を楽しみました。母は理学療法士に勧められて一五年夏に、四十日間リハビリのため入院。それが効いて要介護度が3に下がったのです。

 在宅介護は六年目になります。母はこの夏にまた圧迫骨折し、認知症も出てきました。兄妹でできる限りは続けようと思っていますが、母が私を認知できなくなったらつらくて、施設入所を考えるんじゃないかな。母に「あなた誰?」って言われることに私が耐えられるかどうか。

 私は若いころから、老後をどう心豊かに暮らすかとずっと考えていました。介護が一段落したら、一昨年に買った熱海の高台の家で毎日温泉に入り、夫と二匹の愛犬と暮らしたい。そして、世界一周旅行に出ます。最期は桜の木の下に散骨してほしいですね。

 聞き手・五十住和樹/写真・高嶋ちぐさ

<にった・えり> 1968年、埼玉県生まれ。アイドルグループ「おニャン子クラブ」の中心的存在として活躍。歌手や女優として活動しながら、介護の経験などを各地で講演する。講演や出演情報は新田恵利オフィシャルサイトで。

 

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