東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<食卓ものがたり>ゆっくり収穫 味わい多彩 サトイモ(愛知県碧南市)

鈴なりのサトイモを手に笑顔を見せる鈴木啓之さん(左)と妻の薫(かおり)さん=愛知県碧南市で

写真

 遠い昔、南から来た人が携えていたのだろうか。アジアの熱帯が原産のサトイモ。株の中心に親芋、そこから子芋、孫芋と順に増えることから「子孫繁栄」の縁起物としても知られる。

 二〇一二年、愛知県碧南市に「鈴盛農園」を開いた鈴木啓之さん(36)は、六年前に八十五歳で亡くなった祖母が育てていたサトイモを種芋にして栽培に励む。名付けて「おばあちゃんのサトイモ」だ。

 サトイモ畑は川の堤防脇など四カ所に分かれ、広さは計三十アール。古くは沼地だった場所を砂で覆ってできたという土地は、水はけの良い砂とじめじめとした泥がまじり、管理が難しい。その分、与える水や肥料の量を細かく調整し、滋味豊かなサトイモを作ることに成功した。

 もともとは自動車関連会社で働いていた。ただ、次第に「自分の手で何かを作りたい」という気持ちが強まった。浮かんだのが、実家で祖母が栽培するサトイモ。「試してみないと後悔する」と、結婚を機に二十五歳で脱サラし、県の施設で農業の研修を受けた。

 収穫期が八月から十二月までと長いのが、同農園の特徴だ。時季によってサトイモの大きさや食感は変わる。「私の畑で取れるのは二・五トンほど。普通の農家なら三日間で収穫を終える量だが、少しずつゆっくり取ることで、いろいろな味を楽しんでもらえる」。客の味の好みに応じた、いわば「オーダーメード」だ。

 八、九月のサトイモは小さく丸い。「月見の時、団子の代わりに、皮ごと蒸して衣(きぬ)かつぎにして食べるとおいしい」。秋が深まり寒くなるにつれ、増してくるのがもちもち感だ。「今の時季はサトイモ独特のこの食感が好評」とにっこり。

 「うちは、量より味で勝負です」。鈴なりのサトイモを抱えた顔が誇らしげに輝いた。

 文・写真/三浦耕喜

◆買う

写真

 鈴盛農園のサトイモ=写真=は「道の駅にしお岡ノ山」(愛知県西尾市)や、体験型農業施設「あおいパーク」(碧南市)など、農園に近い産地直売所で販売されている。時季や販売場所によって異なるが、600グラムで280円ほど。

 農園では祝日以外の毎週月曜午後1時から同2時まで、「ハタケマルシェ」を開催。サトイモをはじめ、その日朝に収穫した野菜を販売。当日の午前9時までに連絡を入れれば取り置きも可能。(問)鈴盛農園=Eメールinfo@suzumori-farm.jp

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報