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【暮らし】

自己判断でやめないで アトピー ステロイド塗り薬

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 かゆみのある湿疹が顔や体に左右同じように出て、良くなったり、悪くなったりを繰り返すアトピー性皮膚炎。子どもだけでなく、大人の患者も増えている。治療の柱の一つはステロイドの塗り薬だが、自己判断で中止したり、量を減らしたりして症状を悪化させるケースは少なくない。なぜ薬を使うかを理解し、根気よく取り組むことが大切だ。 (小中寿美)

 ステロイドの塗り薬には、湿疹やかゆみを軽くする働きがある。しかし「長期間使い続けると副作用が怖い」といった誤った認識から、インターネット上には「脱ステロイド」(脱ステ)をうたう情報があふれる。

 東京都内を中心に音楽活動をする磯中ゆうきさん(29)=写真、静岡県御殿場市=は脱ステの経験者。生後半年でアトピー性皮膚炎と診断され、思春期に入ると症状が顔に広がった。薬の効果を感じられず、大学進学を機に脱ステを決意。いったんきれいになったが、空気が乾燥する冬には再び悪化した。

 ステロイドを再開したのは、四年生の夏だ。「薬は徐々に減らし、最後は卒業できるようにする」と目標を示してくれた皮膚科医の指導通りに塗ったところ、一週間で大幅に改善した。症状が落ち着いた今は、保湿剤だけで済む時も多い。

 二〇一七年の国の患者調査によると、アトピー性皮膚炎の患者数は五十一万人で、三十年前の二十二万人から倍増。年代別でみると一〜四歳、五〜九歳の子どもに次いで、四十〜四十四歳、二十五〜二十九歳が多く、大人が六割を占める。アトピー悪化の要因は食物や汗、衣服の摩擦、化粧品、装飾品などさまざまだ。東邦大客員教授の向井秀樹さん(68)によると、大人になって再発、発症する例が増えた理由としては、ストレスや、家の気密性が高まってちりやほこりが漂いやすくなったことなどが考えられる。

 ステロイドは、体内でつくられる副腎皮質ホルモンを薬にしたもの。飲み薬の場合は注意が必要だが、塗り薬は効果や安全性が高いことが科学的に立証されている。皮膚が薄くなるなど局所的な副作用はあるが、多くは一時的。炎症を抑えなければ重症化してますます治りにくくなる。

 「効果がない」と感じる人は量が十分でない可能性もある。〇・五グラムを大人の手のひら二枚分の面積に塗るのが目安。薬の強さには五段階あり、医師の指示に従い、部位や症状によって使い分けることが大事だ。

 肌がきれいになったように見えても、皮膚の下には炎症が火種のようにくすぶっていることが多い。日本皮膚科学会などが推奨するのは、湿疹が治まった後も数日おきにしばらく塗り続ける「プロアクティブ療法」だ。湿疹のない状態を数カ月維持できれば、薬をやめることもできるという。

 昨年春には、かゆみや炎症を起こすタンパク質の働きを抑える注射薬が登場。高い効果があるが、主に重症患者が対象で、ステロイドが第一選択薬であることは変わらない。向井さんは、不信感が強い患者には初診時に三十分をかけて薬の大切さを説明するという。患者側も診察時に医師に疑問や悩みを伝えることが必要。認定NPO法人「日本アレルギー友の会」(東京)や製薬会社サノフィ(同)は医師とスムーズにやりとりができるよう、症状を記録するサービスをインターネット上で提供している。

<アトピー性皮膚炎の仕組み> 体質などによって、皮膚の外側にある「角層」のバリアー機能が低下。アレルギーを起こす原因物質が中に入りやすくなり、それが免疫細胞と結び付いて炎症を起こす。バリアーが弱まることで、かゆみを感じる知覚神経が皮膚の表面近くまで伸び、かゆみも感じやすい。

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