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【暮らし】

<家族のこと話そう>母を助けたい一心で 俳優・高橋文哉さん

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 僕は俳優になる前は料理人になりたいと思っていました。調理師免許も取ったのですが、きっかけは、僕が小学四年生の時の母(49)のひと言でした。

 母の誕生日に、僕がハンバーグを作ったんです。焦げてしまいましたが、「おいしい。ありがとう」って笑顔で食べてくれました。喜んでくれた母の表情を今も覚えています。とてもうれしくて、料理を作ることを仕事にしたいと思うようになりました。

 母の料理は何でもおいしくて、具だくさんのみそ汁なんて最高です。僕にとって母の料理は世界一で、今でもかなう気がしません。

 僕が中学生の頃には、母は飲食店を経営しながら、大型ショッピングセンターのパートなど、本格的に働き始めました。八歳上と六歳上の兄二人はすでに家を出ています。仕事も家事もしている母を助けられるのは僕だけ、と思い、高校に入ったらアルバイトで稼ごうと考えていました。

 最初は高卒で就職、お金をためて調理の専門学校に入る考えでした。でも母は「一番早く調理師免許を取れる道に進みなさい。お金がないから負担もかけるけど自分のやるべきことをやりなさい」と。

 母の言葉に背中を押され、高卒資格も免許も取れる私立の学校へ進みました。料理の勉強を兼ねて中華料理店でアルバイトして奨学金を返しながら、母に少しでも楽をさせたいと、時間がある限り働きました。

 でも、友人の勧めをきっかけに、高校二年で芸能の道に進むことを決めました。母は不安もあったはずなのに、「いいんじゃない?」と送り出してくれました。いつも息子三人を信じてくれた母でした。

 芸能と学校の両立は大変でしたが、母が支えてくれたこともあり、無事に調理師免許を取って卒業することができました。

 二人の兄は大きな存在で、逆らえません。いつどんな時も僕の味方でいてくれ、僕の父親代わりをしてくれました。母を心配させてしまった時は「母さんに負担をかけるな」と全力で僕を叱ってくれ、そのたびに母を支えなければと再認識させてくれました。母のために、そして兄たちに認めてもらえるように、自分の決めた道を進まなければ、と感じています。

 上の兄(26)は子が生まれ、下の兄(24)もまもなく結婚します。母には、これからはもっと、僕たちのためだけではなく、母自身のために自由に幸せに生きてほしい。母はまだ仕事をしているので、僕が頑張って、母が外で働かなくていいように支えたいと思います。

 聞き手・今川綾音/写真・潟沼義樹

<たかはし・ふみや> 2001年、埼玉県生まれ。18年に芸能デビュー。19年9月から、テレビ朝日系「仮面ライダーゼロワン」の主演・飛電或人(ひでん・あると)役を務める。映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』が21日から全国で公開予定。

 

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