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【暮らし】

スポーツで認知症予防 「戦略」が脳に刺激 サッカー・ゴルフなど有効

認知症予防を目的に開かれているサッカー教室。神奈川県が横浜・Fマリノスに委託し実施している=同県横須賀市で

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 スポーツを通じて認知症予防を目指す取り組みが広がっている。神奈川県は昨年度から地元のJ1チームと連携し、お年寄りが孫らとサッカーを楽しむ教室を始めた。ゴルフが記憶力向上につながることを示す研究結果もあり、専門家は戦略を立て頭を使うスポーツは、認知症予防に効果的だと指摘する。 (細川暁子)

 「ほら、パスいくぞ」。十一月中旬、神奈川県横須賀市の体育館で開かれた県のサッカー教室。試合形式の練習で、地元の福本光男さん(75)が小学二年の孫にパスを出した。小学生と幼稚園の孫二人を含め、約三十人の子どもやお年寄りたちに交じり、コート内を走り回った。

 福本さんは三年前、自宅付近を散歩中につまずいて右足を骨折。ひざの手術を受け、外出は控えがちになった。だが、孫に誘われて六月から教室に参加。サッカーは初めてだったが、「まだまだ走れると自信になったし、ボールを追うことで集中力も付いた気がする。顔見知りの子どもも増え、参加が楽しみ」と話す。

 県は、病気と診断される前に生活習慣を変えて体調管理をする「未病」対策に力を入れている。教室は認知症対策の一環で、県が横浜・Fマリノスに委託し、昨年度から実施。毎月二回あり、半年のプログラムで、孫とお年寄りのペアが基本だが、お年寄り、子どもだけでも参加できる。

 一回一時間半。パス練習などをした後に、十五分ほど試合を行う。指導するマリノスの望月選(えらぶ)コーチ(56)は「サッカーは相手の動きを予測した上で行動するため、戦略や判断力が必要で脳トレになる」と指摘。「高齢になると視野が狭くなり反応も遅くなりがちだが、目でボールを追うことで動体視力も鍛えられる」という。ボールを手に持って歩きながら互いに声をかけてボールを交換する練習もあり、反射神経を鍛えられる。

 認知症の専門医で、教室のプログラムを監修した横浜総合病院臨床研究センターの長田乾センター長(66)は「高齢者の運動や社会参加は認知症予防に効果的とされており、世代を超えて楽しめるサッカーは理想的なスポーツ」と話す。

 昨年度は約四十人、本年度は約六十人が参加。プログラムの参加の前後で、記憶力などに違いが出るか効果を検証している。

 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)老年学・社会科学研究センターの島田裕之センター長(48)によると、認知症の予防には、適度な運動と頭を使う活動、人との交流が有効だとされている。

 同センターが着目したのはゴルフで、同センターなどが二〇一六年、習慣的にゴルフをしていない六十五歳以上の百六人を対象に記憶力の検査を実施。半年間、ゴルフ教室に参加した五十三人は、参加前よりも単語の記憶力が6・8%、物語を聞いて筋書きを思い出す「論理的記憶能力」が11・2%向上した。一方で、健康講座の講習会に参加した五十三人には変化がなかった。

 島田さんは「ゴルフは何打打ったかや風向き、ピンまでの距離などを考えながら戦略的にプレーするため、脳の刺激になり、認知症予防の要素がそろっている。サッカーなど、同じような要素のある他のスポーツでも認知症予防は期待できるのではないか」と話す。

 

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