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【暮らし】

皮膚に慢性的な炎症・発疹「乾癬」 バイオ製剤で長期抑制も

バイオ製剤の治療を受けた60代男性の背中。治療前(左)に比べ半年で、乾癬の皮疹が目立たなくなった(右)(多田弥生さん提供)

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 皮膚が盛り上がり、かさぶた状になって剥がれ落ちる乾癬(かんせん)。免疫の異常が原因の一つとされ、近年は免疫反応を抑制する「生物学的製剤」(バイオ製剤)を使って、症状を長期的に抑えられるケースも多い。ただ、効果や副作用は患者の状況や薬の種類によって大きく異なるため、注意が必要だ。 (北村麻紀)

 乾癬は皮膚の炎症が起きる慢性的な病気で、国内の患者は約四十万〜五十万人。原因は完全には分かっていないが、免疫が自分を攻撃する自己免疫反応が関わっているとされている。

 バイオ製剤は、体内で異物を排除する免疫の抗体と似た構造のタンパク質を人工的に作成したもの。注射や点滴で注入し、炎症などの悪化につながるサイトカインというタンパク質と結びつき、その働きを鈍らせて症状を抑える。

 二〇一〇年に乾癬の治療薬として初めて保険適用された。現在は、ジェネリックも含め、十数種類が使われている。

 患者団体「東京乾癬の会 P−PAT(ピーパット)」副理事長の添川(そえかわ)雅之さん(52)は、バイオ製剤がよく効いた一人だ。

 発病は中学二年。当初は発疹が数カ所出る程度だったが、ひどいときは全身の皮膚がただれるなど症状が悪化。二十八歳のときに乾癬の中でも、最も重篤とされる指定難病の「汎発性膿疱性(はんぱつせいのうほうせい)乾癬」と診断された。全身に関節炎が出たり、出血による強い痛みが出たりして、約一年ほぼ寝たきりの入院生活を強いられたこともある。

 乾癬の従来の治療には、塗り薬や内服薬、患部に紫外線を照射するなどの方法がある。添川さんは温泉療法も含め、さまざまな治療を試したが、効果が上がらず、入退院を繰り返した。

 「これまでの治療に限界を感じて」一二年ごろからバイオ製剤を使用。数週間おきに点滴すると、二カ月ほどで大きく改善し、皮膚の症状はほぼ消えたという。副作用でじんましんが出たり、免疫機能が落ちて上気道感染症にかかったりしたが、別の薬に切り替えるなどして対応。これまで六種類を使い、現在は八週間に一度通院して一種類の薬を点滴投与している。

 乾癬は完治しない病気とされるが、添川さんは「症状をコントロールすれば、完治したのと同じ生活ができる」と話す。

◆免疫が低下 感染症には注意

多田弥生さん

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 帝京大医学部の多田弥生主任教授(49)=皮膚科学=は「塗り薬など既存の治療法は対症療法。バイオ製剤は体内の免疫反応に直接作用する点で従来とは異なり画期的」と指摘。「非常に有効」という。

 ただ、全ての患者に適用できるわけではない。多田さんによると、患者の症状や希望も加味して薬を選ぶが、「事前の検査や問診の結果、バイオ製剤で治療できない患者もいる」。効果や持続期間も患者や薬ごとに差があるという。

 また、添川さんのようにじんましんといったアレルギー反応などの副作用があるほか、強い免疫抑制機能で免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなる。

 多田さんは「自分の体調変化をこまめに医師に報告し、相談しながら自分に合った薬や治療法を決めてほしい」と話す。

 一方、乾癬に対する偏見は今も根強い。病名から「感染」を連想させ、うつる病気と誤解されている。発疹は頭や手など目につく場所にできやすく、患者の苦痛も大きい。

 多田さんは「患者もそれ以外の人も、まずは正しい知識と治療法・手段にアプローチしてほしい」と呼び掛ける。多田さん監修の「乾癬治療net」(同名で検索)には、基礎知識や治療法、医療機関などが紹介されている。P−PATの連絡先は「東京乾癬の会」で検索。

 

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