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【暮らし】

いろんな親があっていい 月刊育児誌「母の友」 子育て励まし続け800号

時代を反映したテーマを取り上げてきた「母の友」

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 児童書出版社の福音館書店(東京都文京区)が一九五三年から発行する月刊育児誌「母の友」が二〇二〇年一月号(昨年十二月発売)で八百号を迎えた。「子育てを考えることは、社会を考えること」との編集方針を貫いて六十六年。三世代にわたって読み継がれ、今も子育て中の親たちを励まし続けている。 (小林由比)

 戦争の記憶もまだ濃い時期に創刊した母の友。その後、高度成長期を経て、核家族や共働き家庭の増加、少子化の進行など子育てをめぐる環境は変わり続けた。

伊藤康さん

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 「時代によって伝え方は変わっているが、子どもの視点を知る、子どもを見くびらない、という根っこの部分は創刊以来変わっていない」。一四年秋から編集長を務める伊藤康(こう)さん(42)は雑誌の性格をこう語る。

 同社は中川李枝子さんの「ぐりとぐら」や加古里子(かこさとし)さんの「だるまちゃんシリーズ」などのロングセラー絵本で知られる。子育て層には月刊絵本「こどものとも」も親しまれている。

 「母の友」は同社初の定期刊行物として現相談役の松居直(ただし)さん(93)が創刊。初期は子どもに読み聞かせる童話の掲載がメインで、「ぐりとぐら」のもととなった話も掲載されていた。同社が絵本の出版に力を入れるようになると、母の友では子育てのヒントとなる記事が増えていった。

 子育てだけでなく、保育問題や幼児教育、選挙、原発事故、LGBT(性的少数者)など時代に即した特集を組んできた。父親の育児についての特集も、創刊間もない五五年一月号から何度も取り上げている。

 「子育てメディアが少なかった初期のころは読者を導く、という面もあったと思う。でも最近は『これが正しい』といった伝え方は決してせず、読者との対等な関係を大切にしている」と伊藤さん。広告に頼らずに編集方針を貫き、ピークの七〇年代後半には約八万部を発行した。今も一万四千部を発行する。

 創刊号から親しんできた中川さんは、「『母の友』のいいところは、昔から、英才教育ではなくて、子どもと大人がふつうに元気に暮らすヒントが載っているところ」と八百号の特集の取材に答えている。

 九歳の長女の出産後から読んできた相模原市緑区の中村暁野(あきの)さん(35)は「個性的な長女の子育てに悩んでいたとき、子育てのハウツーではなく、自分自身が人間として学べるような記事を読むことができて救われた。答えを求めるのではなく、自分と娘との関係を大事にしていこうと思えた」と語る。

 伊藤さんが最近感じているのは、あるべき母のイメージにとらわれてつらくなっている人たちが多いことだ。八百号では、社会学者の上野千鶴子さんや、IT企業サイボウズ社長の青野慶久さん、漫画家の田房永子さん、同性カップルで子育てする小野春さんと西川麻実さんなど、二十人が考える「母」についての多様な視点を紹介した。

 「いろいろな母があっていい、というメッセージを伝えていきたい」という伊藤さん。「お母さん、お父さんが自由に子育てを楽しめるよう頑張って、という気持ちを込めて作り続けたい」と話す。

 最新刊の八百一号(二〇年二月号)の特集は薬膳と東洋医学。A5変型判。五百八十円。書店で買い求めることができる。バックナンバーの注文も書店で。

 

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