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【暮らし】

高齢者、障害者らに生活支援 大家には家賃、遺品整理保証 双方安心の住居提供

生活サポート付き住居で食器洗いをする男性=千葉県船橋市で(あんど提供)

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 高齢者や障害者、低所得者らは賃貸住宅を借りたくても、家主や不動産会社に家賃滞納や孤独死などを警戒され、契約できないことが多い。千葉県船橋市の家賃保証会社「あんど」は家賃の債務保証に加え、見守りサービスなどで入居者の生活を支える「生活サポート付き住居」を提供。貸す側、借りる側が安心できる仕組みとして、注目されている。 (出口有紀)

 生活サポート付き住居は、入居者の家賃の支払いが遅れた場合に代わりに納める債務保証に加え、入居者へさまざまな生活支援を実施。あんどのスタッフが定期的に訪問したり、生活の相談にのったりする。

 自立した生活の難しい障害者や高齢者らは、福祉や介護など必要な公的サービスにつなげる。介護保険の利用計画を作るケアマネジャーや障害福祉サービスの相談支援専門員、福祉サービス事業者らとともに入居者の情報を共有し、必要な改善策を考える。万が一の孤独死に備え、あんどが遺品整理費用(限度額三十万円)の保険にも入る。

 入居者は生活サポートサービス費(月額一万円)を含む家賃をあんどに払い、あんどが家賃を納める。

 サポートがある条件で、家主や不動産会社をあんどが探して交渉。千葉県と岡山県に六十二件の物件を開拓し、五十七件に六十三人が入居する。

 入居者の一人で、身体、知的障害のある同市の五十代男性は二〇一七年秋から利用。平日は企業の社員食堂で働き、障害年金と合わせて生計を立てている。

 入居前、男性は八十代の父と市内のマンションで二人で暮らしていた。マンションは父が二人の収入を管理してローンを払っていたが、認知症が進んで滞納し、差し押さえに。転居先が見つからず、父の後見人があんどに相談した。

 男性と父は別々の生活サポート付き住居に住むことになり、生活再建について相談。男性には浪費癖があり、同社が金銭管理する委託契約を結んだ。男性の要望に応えつつ、使いすぎない程度に口座に振り込む。週末には障害福祉サービスのヘルパーが入る。父は、介護保険でヘルパーのサービスを受け暮らしている。

 不動産会社を経営し、一七年にあんどを設立した共同代表の西沢希和子さん(54)は「見守りなどで日々の様子が分かり、トラブルにも事前に対処できる。家主が『貸してもいい』と思える仕組みが必要」と話す。

 不動産業を営む中で、家主らが入居者の家賃滞納や遺品整理などのリスクを抱える現状を痛感。障害者の自立を支援する同市のグループホーム経営者の友野剛行さん(50)とサポート付き住居の仕組みを考えた。

◆円滑な入居へ 国が財政支援

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 高齢者や障害者、低所得者ら「住宅確保要配慮者(要配慮者)」の支援に向け、国土交通省は一七年、要配慮者の入居を拒まない物件の登録制度を開始。民間の空き家、空き室を活用しつつ、増加する単身の高齢者らの需要に応える狙いで、二〇年度末までに全国で十七万五千戸を登録するのが目標だが、十分には機能していない。物件はホームページで公開されているが、二十一日時点で二万戸ほどで、空き室は二千五十六戸にとどまる。

 円滑な入居につなげるため、要配慮者の家賃債務保証や生活支援などを担うNPO法人や企業を都道府県が「居住支援法人」に指定し、審査を通った法人の事業に国が財政支援(上限一千万円)する制度を開始。これまでに全国の約二百七十の企業やNPO法人が指定を受けている。

 あんども一八年に千葉県の指定を受け、国から補助金を受ける。ただ、対応できる支援内容は法人で異なり、友野さんは「各法人がつながり、困難な事例をともに解決する事例を増やす必要がある」と話す。

 

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