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【暮らし】

<環境視点>廃棄食材、優しい染料に

廃棄予定の食材などから取り出した染料を使った糸や布製品=いずれも名古屋市内で

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 食品ロスをファッションに−。食品廃棄物から色素を取り出し、衣類やバッグなどの染料として再活用する取り組みが注目されている。繊維専門商社の豊島(名古屋市)が「フードテキスタイル」と名付け、食品メーカーなどと連携。自然由来の優しい色合いと、環境意識の高まりの相乗効果で、使用した商品も好評だ。 (植木創太)

 Tシャツの淡いピンク色は、ムラサキキャベツの切れ端の色素だ。コーヒーの出し殻から作った染料でベージュに色づけした、人気ブランドのスニーカーもある。

◆残りかす活用

 豊島のショールームの一角には色とりどりの衣類や靴、バッグなどの布製品が並ぶ。色のもとは全て、食品の製造過程で出た残りかす。特殊な技術で色素を抽出して染料にし、生地に仕立てている。

 同社が二〇一五年から始めた「フードテキスタイル」。染料の九割以上が天然素材で、この生地を使った商品はTシャツやネクタイ、子供服、エプロン、エコバッグなど百以上に上る。

 プロジェクトリーダーの谷村佳宏さん(35)によると、キャベツでも部位によってベージュやピンクに、コーヒーの出し殻も豆によって色が違うなど一つの食品から複数の色素が取れる。約五十食品から五百色以上を開発した。

 原料の残りかすは、食品大手「カゴメ」(名古屋市)やコーヒーチェーン店「タリーズコーヒー」(東京)など十五社から購入。染料を目的として作られたものではないため、自然なパステル系の色合いが多い。

 色素の抽出にかかるコストなどで、一般的な化学染料を使った生地のほぼ倍の価格。それでも、「エコな商品」との付加価値もあり、靴の「コンバース」やセレクトショップ「アーバンリサーチ」などの人気ブランドも含め、約三十社が取り扱う。

◆社会貢献PR

 きっかけは、谷村さんが参加した異業種交流会。食品メーカーの担当者との会話で、活用を思い付いた。日本の会社は安全管理の水準が高く、出所も追跡できるため、染料の品質が保てるといい「仕組みを国内で確立できれば、日本の繊維業の新たな売りになる」。環境意識の高い欧州での販売も視野に入れる。

 食品メーカー側も処理費用を削減できるほか、ファッションとして流通することで、環境への貢献もアピールできる。野菜の切れ端を提供する食品大手「キユーピー」(東京都渋谷区)グループの担当者は、「これまでも肥料や飼料などで再利用してきたが、ファッション業界と組めるのは新鮮だ」と手応えを語る。

ハーブティー規格外品(手前)から抽出した染料で色を付けたエプロンを身に着ける「生活の木」の社員

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 従業員の制服をフードテキスタイルで作る企業も。国内で約百二十店を展開するハーブ・アロマテラピー専門店「生活の木」(東京都渋谷区)は今月、店で販売するハーブティーの規格外品で染めた生地を使い、制服を新調。コーヒー専門店「猿田彦珈琲(コーヒー)」(同区)は一八年から一部店舗で、出し殻から染めたエプロンを従業員が着用しており、池袋店の宮本那月店長(33)は「色合いも優しく、愛着も出る」と喜ぶ。

 豊島がこれまで材料に使った食品廃棄物は約二百キロ。今後、生地を使った製品にQRコードを付け、どれだけのロス改善に役立ったかをホームページで確認できる仕組みも整える。

<食品ロス> 国の調査などによると、国内では食品廃棄物などが年間2759万トン(2016年度)排出される。このうち、食べられるのに廃棄される「食品ロス」は643万トン。飢餓に苦しむ人に向けた世界の食料援助量の1・7倍に相当し、うちの半分以上が食品工場や飲食店などの事業系が占める。

 

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