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【暮らし】

<家族のこと話そう>母は同志、ライバル ダンサー・俳優 大貫勇輔さん

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 祖父は体操の元五輪強化選手、母や伯母も元体操選手。僕は体操、サッカー、水泳、ダンス、剣道、英語、ピアノ。毎日のように習い事をさせてもらいました。もっと友だちと遊びたいと思ってましたが、どれもある程度区切りがつくまで続けました。母はダンスの先生で、スタジオを経営しています。僕は七歳の時から本格的に習い始めました。小学六年の時、テレビでストリートダンスを見て、「こんなかっこいいダンスがあるんだ」とのめり込みました。

 母は一人息子を食べさせるためにずっと働いていた。小学生の僕は悪ガキで、寂しかったのか結構やんちゃしてました。女の子をいじめたことが先生にばれて、母はカンカンです。僕は「ジャニーズに入りたい」みたいな、女の子にもてたい男子。肩に掛かるくらいのロン毛でした。母は「小学校を辞めるか丸刈り頭かどっちだ」って。丸刈りにして母と謝りにいきました。家にあったバリカンで真ん中から刈ったので落ち武者みたいになった。その姿が面白すぎて、母は怒ったり笑ったりして、僕は泣き笑いしながら丸刈りになりました。

 僕が悪さをしたとき、本当に理解するまで夜の三時、四時でも向き合ってくれた。強い父親みたい。曲がったことが嫌いで、いろんなことに挑戦する人です。中学二年の時、「毎年一緒に踊ろうね」って約束し、ジャズダンス、コンテンポラリーとか今でも一緒に踊っています。今はお互いに助言をし合う同志であり、ライバルかな。

 母は僕にずっとダンサーでいてほしいと思っていて、二十三歳で俳優になりたいと言ったときはすごく反対しました。でも「嫌だ嫌だ」と言っても全部作品を見てくれる。二〇一八年の舞台「メリーポピンズ」で初めて「あなたの歌とお芝居に感動した」と言われ、本当にうれしかった。「(俳優としての舞台で)あなたがどれほどのものと闘ってきたのか分かった」とも言ってくれて。そこから母がすごく変わったんです。今まで嫌いだった芝居にチャレンジしたり。昨年、芝居の初舞台を踏みました。

 それまではダンスで共有できてたのが、芝居のことでも共有できるように。実家に帰って好きなワインを飲みながら一緒に語り合う時間は楽しいですよ。僕もダンススタジオを一緒に経営するパートナー。ダンスを通して子どもたちに何を伝えていくか、なんて話をしょっちゅうします。

 ダンスでも芝居でも同志となって、僕にとっては理想の形。本当にいろんなものを超越している関係だなって感じるので、これがずっと続いたらいいなと思いますね。

 聞き手・五十住和樹/写真・松崎浩一

<おおぬき・ゆうすけ> 1988年、神奈川県生まれ。17歳からプロダンサー。最近はフジテレビのドラマ「ルパンの娘」、TBSの「グランメゾン東京」に出演。11日から東京芸術劇場での舞台「ねじまき鳥クロニクル」に出演予定。

 

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