東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<私の転機>納得できる人生送りたい 離婚後、働き学んで起業 70歳で行政書士事務所開く

「ストレス解消法は仕事をうまく回転させること」と話す片岡節子さん=東京都国立市で

写真

 70歳で行政書士試験に合格し、昨年4月に念願の行政書士事務所を開いた東京都福生(ふっさ)市の片岡節子さん(71)。幼子を抱えての離婚や48歳での起業を経て、「今が一番楽しい」と話す。そんなパワフルな日常の原動力は「人生は一度きり。納得できるものにしたい」という思いだった。 (五十住和樹)

 最初の転機は三十九歳での離婚でした。三人の子のうち当時二歳だった末っ子の長女を引き取り、食べていくためあらゆる仕事をしました。販売や営業、清掃、市場調査など懸命に働き、いろんな知識を吸収しようとしました。「子どもに恥ずかしい姿を見せたくない。信頼される生き方をしたい」という思いでした。

 働きながら専門学校に通い簿記の資格を取得し、会計事務所にいたときは税理士に挑戦。お金が続かずあきらめましたが、宅地建物取引士は取りました。

 母子家庭向け貸付金などを活用し、預貯金も蓄え、仕事、育児、専門学校という毎日。でも、雇い主の意向で自分の仕事が左右される働き方に限界を感じるようになりました。

 第二の転機は、四十八歳で、経理事務などを請け負う株式会社を設立したことです。自分の責任で仕事を切り盛りすることに、やりがいを感じました。

 資格を取れば給与が増え、仕事の幅も広がると思い、許認可手続きの事務もできる行政書士を目指しました。子どもが法律的なトラブルに巻き込まれた時、頼りになる母になりたかった気持ちもありました。

 喫茶店やファミレス、電車の中。自分に負荷を掛けるため、トイレでも勉強しました。毎年受け続け惜しいところまでいくのですが、十五回目の二〇一八年度にやっと合格しました。

 今年は初孫だった長男の子が成人しましたが、長男の妻は「お母さんは孫の顔も見に来ないで、ずっと勉強ばかりしてましたね」とあきれてました。

 当初は六十歳までに合格するつもりでしたが、十年延びちゃった。ライセンスを得て仕事を展開する醍醐味(だいごみ)をこれから味わいたい。今が一番楽しいです。

 離婚してから、残っている人生を納得できるものにしたいと、ずっと思い続けてきました。これから国家資格の公認心理師に挑戦します。行政書士として書類を整えて終わりではなく、顧客と人間関係をつくって支えていくような仕事をしたい。それには相手に対してカウンセリングをするような心構えが必要。人生七十年の経験も生かせます。

 目いっぱい人生を使い切ってぐっすり眠り、朝になったら事切れていた。そんな最期がいいな。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報