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【暮らし】

「公費」以外の教材、制服… 保護者の負担 年十数万円

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 入学シーズンを控え、子どものランドセルや制服を購入した家庭もあるだろう。入学後は給食費や修学旅行費をはじめ、ドリルや単元テスト、連絡袋の費用まで、公立小中学校でも意外と負担が積み重なる。埼玉県川口市内の市立中学校の事務職員で、保護者負担の削減を実践してきた柳沢靖明さん(38)に保護者負担の現状と、負担を減らすためにできることを聞いた。 (砂本紅年)

 公立小中学校の各教科の消耗品や教材など学校運営にかかる費用は公費と、保護者から別途徴収する「私費」で成り立っている。

 私費で賄っているものの例は制服や道具箱、アサガオなどの栽培キット、実験用教材、ドリル・ワークなど=イラスト参照。ただ、公費と私費の線引きは財政事情などから、市町村や学校によって異なり、将来子どもの所有品になるものは私費となるケースが多い。文部科学省によると、公立小中学校に通う子どものいる保護者の年間負担額は小学生で一人約十万円、中学生で同約十八万円に上る。

 柳沢さんは年三回、保護者向けに独自に発行する「事務室だより」で、公費や私費の使い道を報告。「保護者にも支払うお金の根拠に関心を持ってほしい」との思いからだ。

 勤務校では柳沢さんの赴任前、教室のカーテンのクリーニング代を私費でまかない、保護者から生徒一人につき年額約二百円を徴収していた。だが、四年前からは洗濯機を公費で購入し、校内で洗濯している。一人一冊ずつ購入していた社会科資料集(地理、歴史、公民合わせて約二千百円)は教室の大型モニターに別で用意した資料を映す方式に変え、不要になった。

 新年度からは、体育館専用シューズと上履きの二種類が必要だったのを上履きに一本化。こうした取り組みを重ね、私費を年一万円以上減らすことができた。

 負担を減らすために保護者にできることとして、「年一回の学校評価アンケートの自由記述欄などに疑問や提案を書くのも一手」と柳沢さん。勤務校でも昨年、アンケートで柔道着の再利用の提案があり、卒業生に不要な場合は寄付を募ることなどを検討中という。

 ほかにも、卒業する学年の保護者がイベントなどを企画する「卒業対策委員」になった場合には、保護者から徴収する私費をなるべく減らし、お金を集めなくてもできるイベントを考えたり、学校に記念品を贈る慣習を見直したりすることもできる。

 「贈ることの多い運動場用のテントなどは、割り当てが少ないとはいえ公費で購入するのが筋」と柳沢さん。「払うのが当たり前と思っている私費も、変えられるケースがある。学校や地域の異なる保護者同士で情報交換をすると、軽減策が見つかるかもしれない」

 柳沢さんが負担金について考え始めたのは職員に採用され二〜三年目。一定の所得に満たない家庭に支援金を支給する「就学援助」の申請で、百万円前後の所得の四人家族の父親がおり、衝撃を受けた。

 厚生労働省によると、二〇一五年の子どもの貧困率(平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす十八歳未満の割合)は13・9%、ひとり親世帯では半数を超える。一方、就学援助は自治体に格差があり、私費負担を賄うには不十分なケースもある。

 柳沢さんは「学校側は『数百円だから』と気軽に私費に頼りがちだが、経済状況によっては家計を圧迫する」と指摘。「義務教育は無償という憲法の理念からすれば、公立小中学校は本来、公費で運営されるべきだ」と話す。

 

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