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【暮らし】

糖尿病 感染症は大敵 新型コロナでも重症化リスク

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 国内で約一千万人がかかっているとされる糖尿病。広がり続ける新型コロナウイルスを巡っては、感染すると重症化しやすい基礎疾患の一つに挙げられている。専門家によると、そもそも糖尿病の患者は新型コロナに限らず、さまざまな感染症にかかりやすい。日ごろから感染予防を心掛けるとともに、かかった場合の対処法を知っておくことも大切だ。 (小中寿美)

 国は二月に公表した新型コロナの「相談・受診の目安」の中で、重症化しやすい基礎疾患として糖尿病を明記した。感染が確認された中国の約五万六千人を分析した世界保健機関(WHO)などの調査によると、糖尿病患者の致死率は9・2%と13・2%の心疾患に次いで高く、全体の致死率3・8%を大きく上回る。

 糖尿病は、膵臓(すいぞう)から出るインスリンの分泌が不足したり、働きが悪くなったりして血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上がる病気。四つのタイプがあるが、免疫反応の異常などでインスリンが出なくなる1型と、過食などの生活習慣が影響する2型が代表的だ。

 「糖尿病患者は、白血球など免疫に関わる細胞の働きが弱い」と話すのは、藤田医科大内分泌・代謝内科学教授の鈴木敦詞さん(56)だ。そのため、膀胱炎(ぼうこうえん)や肺炎、結核、水虫や歯周病などの感染症にかかりやすい上、悪化しやすい。神経障害や血行障害を併発して感覚が鈍っていたり、栄養が行き渡りにくかったりすることも、急速に重症化する原因となる。二〇一八年に報告された英国の調査では、感染症で入院する確率は1型で健康な人の三・七一倍、2型で一・八八倍だった。

 新型コロナを含め感染症を防ぐには、手洗いや人混みを避けるといった基本対策の徹底に加え、神経障害などの進行を防ぐため、血糖値を良い状態に保つことが大事だ。鈴木さんは、必要に応じてインフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種も勧める。

 糖尿病患者が感染症にかかり、発熱や下痢、食欲不振などの症状が出た状態を「シックデイ」(体調の悪い日)と呼ぶ。シックデイでは、普段、血糖値を下げるインスリン注射や服薬で血糖値をコントロールできている人が急に高血糖になることがある。また食事ができずに低血糖になる可能性も。そのため、特にインスリンを打っている人は急激な低血糖を起こしやすく要注意だ。ただ鈴木さんは「医師との相談なく、自己判断で飲み薬を増やしたり注射をやめたりせず、必ず医療機関を受診して」と訴える。

 糖尿病が強く疑われる人(有病者)は約一千万人と推計されるが、国の一七年の患者調査によると、糖尿病の治療を受けている患者は約三百二十九万人にとどまる。初期は自覚症状もないため、健康診断で指摘されても放置する人が少なくない。鈴木さんは「新型コロナが広がる今、自分は治療の必要があるかなどをきちんと把握して」と呼び掛ける。

◆災害時の注意点 手引に

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 糖尿病患者は、災害時の避難所でも注意が必要だ。済生会横浜市東部病院(同市)の専門医ら糖尿病ケアチームは二月、患者向けの災害時マニュアルを発行=写真。薬の準備や使い方、食事の取り方、感染症を防ぐ足や口腔のケア、運動療法などを紹介している。

 足が冷たい、歩くと痛いといった人は血行が悪いと考えられる。熱さや冷たさが分かりにくいなど感覚が鈍い人は神経障害の可能性がある。こうした人がけがをすると、傷が治りにくかったり、傷に気付きにくかったりするリスクが高い。避難所では靴下や底の厚い靴で足を保護するよう、マニュアルは勧めている。

 口の中の細菌による歯周病の悪化や肺炎を避けるには口腔ケアも大事。水が十分でない場合に備え、すすぎが不要な液体歯磨きや洗口液、ウエットティッシュを準備しておくと便利という。マニュアルは同病院のホームページからダウンロードできる。

 

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