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【暮らし】

UDフォント 授業で効果 読み書き困難な子、前向きに

電子黒板にUDフォントで書かれた文字が映し出された奈良県生駒市桜ケ丘小の授業=2019年12月

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 文字の形が分かりやすく、読み間違えにくいユニバーサルデザイン(UD)フォントと呼ばれる書体が教育現場で導入され始めた。文字の読み書きが困難な子どもの学習に効果があるとされるが、そうでない子も読みやすいとの調査もあり、全国の自治体から注目されている。

 奈良県生駒市の小中学校は二〇一九年度から、UDフォントを授業に取り入れた。同市桜ケ丘小三年の理科の授業。電子黒板にUDフォントで書かれた「いよいよ かいちゅう電とうをつくろう!」という文字が映し出された。

 丸みを帯びていて、手書きのように見える。児童に配るプリントにもUDフォントが使われており、読み書きに障害がある可能性がある児童は「優しい印象で読みやすい」と話す。

 UDフォントは、濁点を大きくするなど、より多くの人の読みやすさを考慮した書体。駅の表示や食品の成分表示にも使われている。

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 生駒市はフォント開発販売のモリサワ(大阪市)のUDフォントを採用。授業で使われているUDデジタル教科書体は「令」など、一般的なゴシック体と手書きで形が違う文字では、手書きに近い。一般的な教科書体より線の強弱を抑えて読みやすくなるよう工夫されている。教育現場でも書き順や画数などを教えやすいという。

 二〇年度からは一部の教科書でも採用される予定だ。同社担当者は「目が悪い人が眼鏡を掛けるように、読み書きの障害もUDフォントで改善するのでは」と説明する。

 文字がゆがんで見えるなどさまざまな理由から読み書きに問題がある子どもは学習でつまずきがちだが、気付かれにくい。生駒市によると、以前は教師が勉強不足と責めたり、学校嫌いになったりしたケースもあったが、導入後は勉強に前向きになり、支援もしやすくなったという。

 大阪医科大LDセンターの奥村智人さんが行った実験では、読み書きが困難な小学生三十三人に一般的な書体とUDフォントの二種類の問題を読ませたところ、UDフォントの方が約9%速いスピードで読めた。

 また生駒市の調査で、障害の有無を問わず百十六人の小学生に対し「バナナは青色の野菜です」などの文を読んで正しいか答える実験で、一般的な書体の問題は正答率が66%だったが、UDフォントでは81%だった。生駒市は「読みやすく、学習意欲や学力の向上が期待できるのではないか」と考え、導入したという。

 埼玉県三芳町は一二年から広報誌にUDフォントを導入しており、昨年、教育現場も含め全庁的に利用を始めた。担当者は「個人差があり、全ての人に読みやすいというわけではないが、保護者からも配布物の学年便りが読みやすいと好評。質の高い教育を目指す観点もある」と話している。

 

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