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【暮らし】

会社側のフォローがカギ 効果見えにくい「ストレスチェック」

国が推奨するストレスチェックの質問票

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 新年度が始まり、就職や転勤など環境が新しくなった人も多いだろう。慣れない職場に緊張や不安を感じがちな時に役立てたいのが「ストレスチェック」と呼ばれる簡易テストだ。労働安全衛生法の改正で、50人以上の従業員がいる会社では5年前から、毎年1回の実施が義務付けられた。ただ、働く側からは「効果がよく分からない」という声も。どのように生かせばいいのか。 (添田隆典)

 「正直、やる意味あるの?」。愛知県内に住む四十代の男性会社員は、毎年、職場でストレスチェックを受けるたびに思う。

 ストレスチェックは、働き方に関する質問に答えることで、働き手が自分の状態を知り、会社側もストレスが高い人の負担を軽くするなどして心の不調を防ぐのが目的。国が薦める質問票は「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「部署内で意見のくい違いがある」などの五十七項目に四段階で回答する。結果は数値化して本人に通知。高ストレスと判定されると、産業医との面談を勧められる。

 男性も一度、高ストレスと判定され、産業医を通じて、もっと意思疎通を図るよう、上司に意見してもらった。しかし、思うような改善はなかったという。

 男性の職場のように「やりっ放しで終わる企業は多い」とストレスチェックに詳しいニッセイ基礎研究所准主任研究員の村松容子さんは指摘する。厚生労働省の二〇一七年の調査によると、実施義務のある企業のうちストレスチェックを行ったのは78・9%。受けた人も対象者の78・6%に上る。しかし、村松さんが昨年、過去一年間にストレスチェックを受けた十八〜六十四歳の二千五百七十二人に尋ねたところ、「高ストレスで面談を勧められた」と回答した二百五十八人のうち、六割が「何もしなかった」と答えたという。

 プライバシーを保護するため、結果を本人の同意なしに会社側が知ることは禁じられている。しかし、一般的に産業医との面談の窓口になるのは会社だ。そのため「ストレスの原因が上司や同僚の場合、言い出しにくい」と話す。実際は禁止されているものの、人事に影響があるのではないかという不安も。実施企業や受検者数が多い割に「効果が見えにくい」という声がある原因の一つだ。

 このため、普段から悩みを打ち明けやすい職場づくりに取り組む企業もある。従業員約百五十人の電気設備メーカー「友伸エンジニアリング」(東京)は毎日、カウンセラーに相談できる電話窓口を設けている。匿名でもOKだ。さらに月一回、カウンセラーに面会して相談できる機会も。会社を通じて予約することが必要だが、何を相談したかが漏れることはない。総務課長の塩谷朋之さん(36)は「悩みを聞いてもらうだけで心がスッキリしたという人も多い」と話す。

 村松さんは、ストレスチェックについて「これまで『何となくしんどい』などと感じていた人が、自分のストレスや、原因が何かについて気付けるのは大きい」と評価。「睡眠を多めに取ったり、意識的にリフレッシュしたりと仕事のやり方を見直すきっかけにはなる」と話す。

 ただ個人ができることには限りがある。より効果を高めるには、プライバシーを守った上でどう相談体制を確立するかや、高ストレスの人にどういうサポートを用意しているかなどを会社側がしっかり示すことが欠かせない。「効果を実感できなければ、真面目に答えなかったり、受検しなかったりする人も増える」と村松さんは警鐘を鳴らす。

 

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