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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 加藤健次弁護士> 亡き叔母の息子が借家権相続を主張

<お悩み> 私の所有する家に1人で住んでいた叔母が最近、亡くなりました。建物と土地を処分しようと考えていたところ、叔母の長男が「この家に住みたい」と言います。断りましたが、「借家権を相続した」と言い張ります。叔母との間に契約書はなく、固定資産税分くらいを受け取っていただけです。どうすればいいのでしょうか。 (愛知・会社員 63歳)

◆使用貸借ならば契約終了

<お答え> 近親者に建物を貸している場合、内容を契約書などにまとめておかないと、後で問題になることがあります。相談のような賃貸借契約か使用貸借契約かもその一つです。原則は賃料を取っていれば賃貸借、無償なら使用貸借です。

 賃貸借は相続できますが、使用貸借は借り主が死亡すれば終了します(民法五九九条)。

 判例は、固定資産税相当額を支払っていても、それが建物利用の対価にあたる特別の事情が認められない限り、賃貸借ではなく、使用貸借であるとしています(最高裁一九六六年十月二十七日判決)。

 あなたと叔母さんとの間には、相談内容を見る限り「特別の事情」はないと思われます。よって使用貸借といえます。

 ただし、借り主と長年同居している家族がいる場合は単純ではありません。裁判では、貸主と家族の間の人的関係や、家族の居住の確保を重視し、借り主が死亡しても直ちに使用貸借契約は終了しないとしたものがあります(東京高裁二〇〇一年四月十八日判決、東京地裁一九八九年六月二十六日判決)。

 長男は叔母さんと同居していないので、これには当たりません。したがって叔母さんの死亡によって使用貸借は終了。長男は借家権を相続できません。

 逆に、あなたは相続人である長男に、住居内の叔母さんの所有物の撤去を求めることができます。実際は、必要なものだけ運び出してもらい、貸主が承諾を得て処分することもよくみられます。

 親族間のことなので、本来は話し合いによる解決が望ましいです。うまくいかなければ弁護士を間に入れるのも一つの方法です。

 

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