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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 賃金放棄の念書にサインしたが…

<お悩み> 居酒屋でパートとして働き始めましたが、残業を連日求められたため、2週間後に退職の申し出をしました。すると、店長から「忙しい時期に退職するのだから、賃金は支払わない」と告げられました。一日も早く退職したかったので、賃金を放棄する念書にサインしてしまいました。このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか。 (東京・女性 40代)

◆不払いは労基法違反

<お答え> あなたは実際に二週間働いていますので、その分の賃金請求権が発生しています。退職の申し出があったからといって、賃金を支払おうとしない会社は「ブラック企業」と言われても仕方ないでしょう。

 労働基準法第二四条は使用者に対し、賃金の全額払いを義務付けています。労基法の規定に反する労使間の合意は無効で、賃金を放棄する念書にサインしたとしても、念書自体が無効ですから、賃金請求権は消滅しません。

 ただし、働く人が「自由な意思」に基づき、賃金や退職金を放棄したと認められる合理的な理由があれば、会社側が支払いを拒否するのは有効だと解釈されています。

 例えば、経費の不正使用が疑われる中、その返済目的で退職金を放棄することに合意したり、会社からの借入金を退職金で返済(相殺)することに本人が合意したりするケースでは、退職金の放棄や相殺の合意は有効だと過去の判例で示されています。

 あなたの場合、賃金を放棄しなければならない合理的な理由は見当たりません。パートにもかかわらず連日の残業を求められたからとはいえ、すぐに退職したいとの一心で賃金放棄の念書にサインしたのは、やや軽率だったかもしれません。しかし、それだけの理由で、念書が有効になるわけではありません。

 まずは会社に対し、働いた分の賃金の支払いを請求し、話し合いをしてみてください。もし会社が念書を盾に支払いを拒んだ場合は、労働基準監督署に相談してください。賃金不払いは労基法違反です。労基署は会社に対し、賃金を支払うよう指導するはずです。

 

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