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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 今野久子弁護士> 夫からの自宅生前贈与、相続に影響?

<お悩み> 夫婦で住んでいる自宅について、夫(80)から「生前贈与する。好きにしていい」と言われました。子どもが2人いますが、私が自宅を先にもらうことで、夫が亡くなった時、他の遺産の相続について何もいえなくなるのではと心配しています。 (神奈川・女性 70歳)

◆婚姻20年以上なら優遇も

<お答え> 大丈夫です。生前贈与を受けていても、相続について主張はできます。

 遺産分割の対象となる相続財産は一般的に、故人(被相続人)の死亡時の財産に、生前贈与や遺贈など一部の相続人だけが故人から受け取った特別な利益(特別受益)を足したものです。これを元に、各相続人の相続分が計算されます。特別受益を相続財産に含めて計算することを「持ち戻し」と言います。

 もし、ある相続人に生前贈与がある場合、その人の相続分は、法定相続分から生前贈与の額を引いて計算します(民法九〇三条一項)。生前贈与に加え、遺産も法定相続分を受け取ると、他の相続人と比べて不公平になるからです。特別受益には、結婚や養子縁組のための親からの持参金、開業資金や住宅購入資金など扶養の範囲を超えた援助が含まれます。

 ただ、貴重な財産を託す贈与は故人の思いを込めたものでもあります。夫婦間で自宅などの居住用不動産を贈与する場合、遺(のこ)された配偶者の老後を心配して行われることが一般的です。このため、あなたのように婚姻期間が二十年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与は、「持ち戻しをしないでほしい」との意思があったと推定する規定が新たに設けられました(同条四項・二〇一九年七月一日施行)。

 これにより、相続財産から居住用不動産は除いて相続分は計算されるので、配偶者の取り分は増えます。「妻に対する生前贈与については持ち戻しを免除する」との遺言を夫に作成してもらうと、より確実です。

 婚姻期間二十年以上の夫婦の場合、夫婦間贈与が非課税になる優遇措置(基礎控除百十万円と配偶者控除最大二千万円)もあります。

 

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