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【悩みの小部屋】

<法律お助け隊 滝沢香弁護士> 事実婚の夫の死後、賃借権どうなる?

<お悩み> 先月、事実婚の夫を亡くしました。住んでいるマンションは夫名義で借りています。夫は、財産は私に残すとの遺言を書いてくれました。家主も引き続き私が住んでも構わないと言ってくれています。ただ、夫には離婚歴があります。子どもはいないとのことですが、詳しく調べたことはありません。もし子どもがいる場合、マンションの賃借権に影響はありますか。(埼玉・女性 68歳)

◆法定相続人の確認を

<お答え> マンションなど不動産は、賃借権(借家権)も遺産になります。契約者が亡くなった際、法定相続人がいれば相続権が発生します。

 あなたのように事実婚の場合、同居していても相続権はありません。もし、亡くなられた夫にお子さんがいれば、子が相続人になります。夫に子がいないか、まずは戸籍をさかのぼって確認することが必要でしょう。

 そのうえで、相続人がいなければ、契約者が住んでいた借家について、同居する事実婚の配偶者が、賃借人の権利義務を継承できます(借地借家法三六条)。家主の意向にかかわらず、家賃を払って住み続けることができます。今後の権利関係を明確にするため、家主の了解を取って、契約書をあなた名義に作り直すと安心かもしれません。

 法定相続人がいる場合も、あなたに借家権を遺贈する遺言があれば、家主の承諾のうえで借家権を継承できます。

 遺言がなかったり、無効だったりする場合、相談者が夫の死後も住み続けるには、借家権を譲ってもらうよう、相続人である子と交渉する必要があります。相続人も自宅を持っていれば、あえてマンションの借家権を希望するとは限らないので、交渉の余地はあると思います。

 判例では、相続人が家主と賃貸借契約の合意解除をしたり、借家権を放棄したりした場合、事実婚の妻の居住を保護した判断などもあります。スムーズに権利が移行できるよう、家賃はきちんと払っておくといいでしょう。

 いずれにしても、相続人の有無によって権利関係は変わります。きちんとした調査を希望されるなら、弁護士に相談することをおすすめします。

 

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