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【首都圏】

老舗の味「あと50年守る」 地域おこし協力隊から店主に

食堂で「皆さんに愛された味を守っていきたい」と話す沼田香輝さん(中)と、見守る大串秀夫さん(右)、房子さん夫妻=群馬県下仁田町で

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 群馬県下仁田町で半世紀にわたって愛された老舗食堂の味を引き継ごうと、町の地域おこし協力隊員として店で修業してきた沼田香輝さん(26)が、今月から二代目店主として新たな一歩を踏み出した。「この店の味と雰囲気をしっかりと守り、伝えていきたい」と意気込む。 (石井宏昌)

 下仁田駅近くにある食堂「一番」。大串秀夫さん(80)が一九六四年に開店し、妻の房子さん(80)と五十年以上守り続けてきた。人気メニューはたっぷり野菜の甘さが引き立つタンメンと、皮から手作りでカリッと焼かれたギョーザ。他にもカツ丼やオムライスなど庶民的なメニューで愛されてきた。だが高齢もあって五年ほど前から店を畳むことを考えていたという。

 町が「食も地域の文化」と地元の味の伝承を任務とする地域おこし協力隊員を募集。川崎市出身で、都内の飲食店で商品開発などを手掛けていた沼田さんが二〇一六年二月に着任した。

 「最初は軽い気持ちだった。二年、三年と続けるうちに地元の人の温かさが心に染みた。出前に行くと『頑張って』と声を掛けてもらった」と沼田さん。交際していた優希さん(32)を呼んで結婚し、一七年八月には長男旺己ちゃんも生まれた。「長男にとっては下仁田が故郷。山に囲まれて自然豊かなこの町で、地に足をつけて頑張っていきたい」。のれんを譲り受けて二代目となり、大串さん夫妻と一緒に店に立つ。

 定住を決めた沼田さんに房子さんは「研究熱心でよく頑張ってくれている。ありがたいね。ずっと店を続けてほしい」とほほ笑む。秀夫さんは「味を学び続けてほしい。気負わずに普通にやってくれればいいんだよ」と静かに話す。

 一月末で協力隊員としての三年間の任期を終えた沼田さんは、町役場で退任のあいさつに立ち「皆さんに笑顔で声を掛けてもらい、この町で頑張ろうという気持ちになった」と振り返り、「町のために何か恩返しできれば。この味をあと五十年続けていくと心に決め、頑張りたい」と決意を新たにした。

 

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