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【首都圏】

<311メディアネット いのちと地域を守る>東京新聞 常総市のNPO 水害に「備えるガイド」

避難所用具セットの説明をする横田能洋さん=茨城県常総市で

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 「水害を経験した地域から、備えのための発信をしたい」。二〇一五年の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊した茨城県常総市で、被災者支援を続けるNPO法人「茨城NPOセンター・コモンズ」の横田能洋代表理事(51)は、こう語る。自身の被災体験を基に、アドバイスをネットで公開したり、避難所の開設訓練をしたりしている。

 横田さんは水害当時、自宅が床の近くまで浸水。家族はボートで救助され、自身は自宅に残り、被災状況を発信した。翌年には「市民の生活の視点で記録に残さなければ風化してしまう」と、被災者約百十世帯の声を集め、水害から一年間の記録を冊子にまとめた。

 昨年夏の西日本豪雨を機に、自身の被災体験を交え、水害時の避難や生活再建の助言をまとめた「豪雨災害に備えるガイドブック」をホームページ上で公開。発生前の準備、避難、片付け、住宅修繕、行政の支援手続きなど、必要な作業を紹介している。

 現在、力を入れているのが住民による避難所の開設訓練。「避難所の場所を知らないとか、受け入れ環境への不安から『家にいられなくなったら避難しよう』と考えてしまうのが、逃げ遅れの原因になる」と感じているからだ。

 高齢者や障害者、乳幼児がいる世帯、ペットの受け入れなども考慮し、避難所の開設マニュアルをまとめた。使える用具のセットも見本として集めた。学校や自治会などを対象に、開設訓練や出前講座を開いている。

 常総市では水害当時、逃げ遅れた四千人以上がヘリやボートで救助された。横田さんは「もう誰も逃げ遅れないためには、住民が日ごろから避難所の開設訓練をして、要望や知恵を出し合い、身近に感じることが大切」と話している。

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<関東・東北水害> 二〇一五年九月、台風18号により宮城、茨城、栃木三県で八人が死亡。鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では、市域の約三分の一の約四十平方キロが浸水。住宅五千棟以上が全半壊した。二人が死亡、十二人が災害関連死に認定された。

<記者の視点> 地震や火山の噴火などと違い、河川の氾濫は突然起きるわけではない。天気予報や川の水位確認で予測可能だ。地形から、起きうる地域も予想できる。水害を体験した人たちの言葉に耳を傾ければ、人命や財産の被害を減らすため、するべきことも分かるはずだ。 (宮本隆康)

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 防災機運を盛り上げるため、全国の地方紙などの最前線の報告を掲載します。

 

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