東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【首都圏】

<新発見考古速報2019> (4)ケカチ遺跡(山梨県甲州市)

和歌刻書土器(ケカチ遺跡出土)=山梨県甲州市教育委員会蔵

写真

 われにより おもひくく(る?)らむ しげいとの あはずやみなば ふくるばかりぞ

 これは、今から千年以上も昔に、径十二センチにも満たない一片の土師器(はじき)の皿に刻み込まれた和歌である。恋歌に仕立てた惜別の気持ちが詠み込まれている。

 この土器が作られた十世紀中頃は最初の勅撰(ちょくせん)和歌集である「古今和歌集」が編さんされ、日記文学の「土佐日記」が仮名文字で書かれるなど、平仮名の成立と普及の画期となった時期である。

 そうした時期に、仮名文字で和歌を刻み込んだ土器が、都から遠く離れた甲斐国(かいのくに)(今の山梨県)で作られていた。和歌の全容が判明する刻書土器としては、この資料が初めての出土事例で、仮名文字の使用や普及の実態を考える上で極めて重要な資料である。

 それにしてもこの歌、一体どんな人物が、どんな思いで刻み込んだものなのだろう。出土遺物を目の当たりにして、そんなことにも思いをはせてみてほしい。

 (川畑純・文部科学技官)

◆江戸東京博物館で21日まで開催中

 本展は二十一日まで、江戸東京博物館で開催中。月曜休館(ただし十五日は開館し、翌十六日は休館)。問い合わせは同博物館=電03(3626)9974=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報