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【首都圏】

<しみん発>障害者の視点で社会つくる さいとう工房社長・斎藤省さん(71)

車いすを使う人や福祉関係者らが集まり、暮らしやすい社会の実現のためアイデアを出し合う交流会「レルカフェ」=6月20日、東京都墨田区で

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 「障害者や高齢者が生きやすい社会を」と志す国内外の福祉関係者が当事者とともに、東京都墨田区本所の町工場「さいとう工房」に集い、課題やアイデアを出し合う。従業員15人の工房は、多機能の電動車いすを手掛けている。その製作技術を学ぼうと、アジア各国の研修生もやって来る。こうした輪の中心に、工房社長の斎藤省さん(71)がいる。 (大沢令)

 二〇一五年から月一回、改装した工房の元倉庫で開く交流会「レルカフェ」には、研究者や教師、理学療法士ら約三十人が集まる。車いすで電車に乗り、片道約二時間半かけて訪れる人も。会の名前は「やれる」「かなえられる」の「レル」からつけた。

 ビルや駅での清掃など、障害者の就労機会につなげようと、業務用掃除機を操作しやすいように、電動車いすを改良するヒントもレルカフェで生まれた。

 斎藤さんは小学生の時に父の会社が倒産し、つらい思いをした。団塊の世代で「勝ち組になれば幸せになれる」と信じ、二十代でボイラーの設計会社を設立。燃費を二割改善し、大手から契約を奪うまでに成長させた。だが、競争原理に支配された物づくりに疑問を抱き、転身を決意した。

 障害者との交流から、多機能の電動車いすの開発を始めた。採算優先ではなく、利用者一人ひとりと向き合い、それぞれの障害の状態に合わせてオーダーメードで対応した。現在は多くの人に調整できる規格品を開発している。

 一〇年ごろには、六輪型の開発に着手。四輪型の半分のスペースで旋回できるようにした。リクライニングや食事、洗面など日常生活をスムーズに送れるよう、座面の奥行きや幅、高さ、座角を調節できる。

 来年の東京五輪・パラリンピックに向け、「当事者の視点」で施設の整備を進めるよう、国に提案した。

 海外への技術支援や、車いすの製作技術を学ぼうと来日する研修生も、積極的に受け入れる。一一年にはNPO法人「さくら車いすプロジェクト」を設立。中古の電動車いすを日本全国から提供してもらい、アジア各国に贈っている。パキスタンには七百二十台を送り、現地で修理技術を教え、ユーザー宅も訪ねて、サポートを続ける。

 斎藤さんは「高齢であっても障害があっても、生き生きと暮らせるように応援したい」と力を込める。

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<さいとう・しょう> 東京都杉並区出身。1994年に墨田区で車いすを販売する会社を設立。就労など、障害者が直面する課題に積極的に取り組む。連絡はホームページ(「さいとう工房」で検索)から。

 

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