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【首都圏】

戦時中に描いたものは 栃木・鹿沼で川上澄生の企画展

豪華本「時計」の中の作品の一つの挿し絵=栃木県鹿沼市の市立川上澄生美術館で

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 宇都宮を拠点に活動した版画家川上澄生(すみお)(一八九五〜一九七二年)が太平洋戦争中に創作した作品を集めた企画展「川上澄生 戦時下の創作」が、栃木県鹿沼市の市立川上澄生美術館で開かれている。澄生は、戦争の時代にあっても、自分が好んだ南蛮文化や文明開化の世界を描き続けた。企画展では作品六十六点、参考資料二十三点を展示している。二十九日まで。

 澄生は四二年三月、戦争ムードに嫌気がさし、それまで勤務していた旧制宇都宮中学の教員を辞め、絵で生活することを決意。物資不足の中、教師仲間だった塚田泰三郎や民芸運動をリードした柳宗悦(むねよし)らから支援を受けた。

 材料入手が困難なため、多くの絵の具を使う木版多色刷りではなく、墨一色の作品も創作。「風景下野国」シリーズは、高原山や宇都宮、真岡、栃木などの風景をモチーフにしている。

 澄生が戦争を描いた数少ない作品の一つが「日本甲螺(こうら)」。元同僚を戦死で失ったこともあり、勇ましい日本の船を描いている。

 企画展の目玉の一つがさまざまな時計を紹介する豪華本「時計」。赤のきらびやかな表紙で飾ったが、出版されたのは戦後になってからだった。

 相沢美貴学芸員は「戦時下という激しい時世の中、川上澄生という一作家がどう対峙(たいじ)したのかを感じてもらえたら」と話す。

 入館料は一般三百円、高校・大学生二百円、小・中学生百円。十七、二十四日は休館。 (原田拓哉)

 

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