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【首都圏】

施設や里親離れた後は 全国ネットが若者交流会

社会的養護について意見を発表した参加者ら=東京都新宿区で

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 虐待や貧困などさまざまな理由で親と暮らせず、児童養護施設や里親家庭で過ごした経験がある若者たちのネットワークづくりが進んでいる。二〜四日には東京都内で全国交流会が開かれ、参加者は施設退所後にどうしたら孤立感を深めずに生きていけるか、それぞれの思いを話し合った。 (木原育子)

 交流会は、施設などで育った当事者でつくる「社会的養護経験者全国ネットワーク」の主催。昨年は大阪市で開催しており、東京では初。これまで当事者同士が全国規模で交流する場はほとんどなかった。

 二歳から乳児院や施設、里親家庭で育った松嶋まじあるさん(21)はイラン人の父と日本人の母を持つ。「『寂しくないか』と聞かれながら育ったが、そもそも両親に会ったことがない。これが僕にとって普通だから、寂しいと思う感覚さえ分からなかった」と吐露。「一般家庭で育った人と会話の文脈が違うなと思うことはあり、社会の理解が必要だと思う」と話した。

 六歳から施設で育った待木(まちき)洸平さん(20)は、十九歳で里親家庭を離れた後、二カ月間ホームレス生活を送った。「どう頼り、どこに行ったらいいのか分からず、生きていくことに不安しかなかった」と振り返った。現在は、当事者団体「IFCA(イフカ)」で活動しており「同じ境遇の人と話すと楽になれる。社会に思いを発信し理解を得ることは大切だ」と語った。

 交流会には十代〜三十代の約四十人が参加。二泊三日のプログラムで「当事者活動のあり方」「経験の共有」などテーマごとに議論を深めた。実の親との関係、当事者団体の運営を続けていく難しさなどそれぞれの悩みを共有し合った。

 最終日は、参加者らが今後の社会的養護のあり方について意見を発表。児童自立支援施設「国立武蔵野学院」元院長の相澤仁(まさし)・大分大教授(子ども家庭福祉専門)は「命の尊厳を共通項に、みんな違ってみんないいと認め合う社会作りが、生きづらさを減らす重要な視点になる」と講評した。

 

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