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【首都圏】

旧満州の戦争孤児描いた人生 小田原の元小学校教師・増田さんの教え子が本出版

増田昭一さん(左)と大野正夫さん=神奈川県小田原市で(夢工房提供)

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 終戦後、旧満州(現・中国東北部)で命を落とした戦争孤児たちの悲惨な記録を書き続けた神奈川県小田原市の元小学校教師、増田昭一さん(91)の人生を、教え子がまとめた本「大地の伝言」(夢工房刊)=写真(下)=が発行された。 (野呂法夫)

 増田さんは一九二八(昭和三)年、小田原生まれ。四五年、十七歳のとき陸軍少将の父がいる満州にチャムス医科大学入学のため渡る。しかし終戦直前の八月九日、ソ連軍が侵攻し、戦場に身を投じるが生き延びて、新京(しんきょう)(現・長春市)の難民収容所に収容された。

 そこで開拓団の孤児たちと一緒に暮らし、飢えと極寒で次々と亡くなる最期の姿を目の当たりにした。

 増田さんは引き揚げ後、小田原の酒匂(さかわ)小で教職の道へ。退職した後、収容所での孤児らの極限の様子や望郷の思いなどを「満州の星くずと散った子供たちの遺書」「約束」など六冊の本や絵本にまとめた。

 戦争孤児の悲劇は二〇一四年八月、TBSの終戦六十九年特別企画ドラマとして放送された。原作者は「酒匂小二年一組の恩師」と同級生に知らされ、ドラマを見て感動したのが、高知大名誉教授(海洋生物学)の大野正夫さん(79)=高知県土佐市在住=だ。

 その後、親しい同級生三人と増田さん宅を訪問し、六十年ぶりに再会。さらに当時の思い出などを集めた同窓会記念誌を発行した。

 大野さん自身も引き揚げ者だ。父は南満州鉄道に勤め、錦州市で生まれ、五歳になる前に終戦を迎えた。一年後に帰国できたが、果たせなかった同世代の孤児たちの苦難に思いを寄せ、増田さんから生い立ちや平和への思いを聞き書きして一冊の本にまとめた。

 大野さんは「満州の大地の土となった戦争孤児たちの叫びを、終生想(おも)う恩師の人生を描いた。二度とあってはならない戦争の悲惨さを、戦争を知らない世代の方々に知ってほしい」と話す。税別千六百円。問い合わせは、夢工房=電0463(82)7652=へ。

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