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【首都圏】

<パラリンピックがやってくる 平山譲> (2)五輪とつなぐユニホーム

障害者サッカーの統一ユニホームを披露する選手たち。左端は日本障がい者サッカー連盟の北沢豪会長=2017年6月29日、東京都文京区で

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 パラリンピックで選手が着用するユニホームにも大きな意味がある。

 音がするボールで視覚障害者がプレーする五人制サッカー。昨年の世界大会では、色こそ青だが、ワールドカップなど国際大会に出場するナショナルチームの「A代表」と異なるデザインのユニホームだった。イングランド、アルゼンチン、スペインなどはなじみのA代表と同じユニホームを着用していた。

 元日本代表の北沢豪さんも疑問だったという。

 「選手に聞くと同じユニホームが着たいといいます。それができていない日本では、障害者サッカーがサッカーとは別物と疎外されている印象でした。サッカー先進国ではA代表同様に敬われ、親しまれ、応援されています。ユニホーム一枚にもその国のサッカーに対する思いが表れているんです」

 二〇一六年に日本障がい者サッカー連盟が設立されると北沢さんは会長に就任し、七団体ある障害者サッカー各協会の日本代表ユニホーム統一にも取り組んだ。視覚障害選手のためにエンブレムに凹凸をつけたり、電動車いす選手のために身幅に余裕をもたせたり、細かい配慮が選手に好評だ。

 そして現在は、選手たちの悲願をかなえるため、A代表と同じユニホームを着用できるように取り組んでいる。

 「車いす選手が死にものぐるいで相手に立ち向かう勇気。知的障害者選手が自ら練習するようになった積極性。脳性まひ選手がたった一つのゴールに大喜びできる感受性。みんな日本を代表する素晴らしい選手たちです。観客に感動を与えているのは、A代表だけではないんです」

 日本サッカー協会の理念であるグラスルーツ宣言では、《誰もが・いつでも・どこでも》が合言葉だ。年齢、性別、人種、そして障害。それらを超えてサッカーを楽しみ、今の自分より少しでも成長したいと挑める環境作り。パラリンピックのユニホームが、この国のサッカーファンにそれを考えてもらう契機にもなるかもしれない。

 「もしけがをして足をなくしても、ある山から下りることになったらそれで終わりではないんです。下肢や上肢に切断障害を持った選手がプレーするアンプティサッカーという山で同じように頂点を目指せます。いくつもの山があり、可能性が広がってゆく。それがほんとうの生涯スポーツではないでしょうか」

 A代表の愛称は「サムライブルー」。この夏、アイマスクをつけたサムライたちも、自国でのメダル獲得に全力で挑む。

 「会場にユニホームを着て応援に行ってほしいです。一度見てもらえれば、これもサッカーだと、すぐに気づいてもらえるはずだから」 (作家・平山譲)

 

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